人と「ちょっと違うかも?」と思わせる程度がちょうどいい
トヨタ・ミライ
まだまだ電気自動車だって海のモノとも山のモノともつかないのに「水素で走るクルマなんて手が出ないわぁ」。ま、一般的にはこんな気持ちでしょう。が、生まれた時から仕事なんてしなくていいクラスの方々にとっては「水素? ああ叔父様のプラントでやってるアレね」とかなんとか鷹揚にかまえちゃって「じゃ、1台といわず叔父様たちの分とあわせて、5台くらい頼むわ」こんなんでしょうかね。
だいたい、小さなこと気にしないのが大金持ちでしょうから、近所に水素ステーションがあるとかないとか問題だって「なければ作るよ」「だったらステーションの隣にウチ建てる!」とかなんとかのたまうはず。ただの新しもの好きに見えないこともありませんが、海のモノとも山のモノともつかないクルマに1000万円近く出せるわけですから、やっぱり傍目には「持ってんだろーな」と映ることでしょう。
そのわりに、テスラでもレクサスでもないルックスはポイント高いのではないでしょうか。あ、リヤウインドウにピーボくんステッカー貼るのはNGで! 「金持ちはすぐ国家権力とつるむ」などと庶民から反感を買うのでやめたほうがよろしいかと。
キャデラック CT5
ひところ、アウディのフルサイズセダンA8は「レクサスがモデルチェンジすると売れる」という噂が立ちました。その心は「レクサスの納車待ちに時間がかかってるお客さんに『A8なら即納できまっせ』と売り込める」のだそうです。ところが、アウディも頭使うようになってフルサイズの輸入量を減らしたのでしょう。ここ最近はキャデラックが「即納&お買い得」てな売り方をしているようです。
たしかに、ジャーマンスリーに比べると戦略的な価格で、しかもドイツ勢がお高く設定しているオプション類もたいていは標準装備。じつに合理的な買い物になるはずですが、小市民にはやはりドイツ製のバッジがありがたいのでしょう。なかなかの苦戦を強いられているのがCT5の現状みたいです。
1960〜70年代、アメリカのドラマ「刑事コロンボ」やら「白バイ野郎」とか観れば、キャデラックがどんだけカッコいいかよくわかるんですがね。ラッパーのPVじゃイメージ上がらんのですかね。
てことで、お金持ちはCT5にヒッチメンバーつけて、ホームオフィス仕様のエアストリームをけん引しちゃうのはどうでしょう。三密を避けたリモートワークに加え、リッチなキャンピングカーライフまで見せつけるという、ジャーマンスリーにはとうてい真似のできない離れ業。地味か派手かでいえば間違いなく派手なんですが、22インチ履いたラプターよりは「品よく」まとまるはず。やっぱりアメ車はどこまでも夢が広がりますね!
三菱 アウトランダーPHEV
大金持ちの2台目、あるいは3台目としてちょうどいい感じ。なにせ、売れてますし、人気車ゆえレンタカーでも引っ張りだこ。それゆえ、街なかでしょっちゅう目にするわけで「匿名性」、つまり目立たないというのがポイントかと。
至れり尽くせりな乗り味、欧州車ほどではないまでもスッキリとしたインテリアなど、クルマとしての出来栄えも上々。ですが、前出4台にくらべ「クセ」がないキャラというのが賛否わかれるところでしょうか。
ただ、ここでエクリプスクロスPHEVを選んじゃうとRAV4やハリアー、あるいは新型エクストレイルなどのグループに近づき、妙なヒエラルキーを意識することになりかねません。スタイリッシュというキーワードは、庶民にむけた俗っぽい価値観というのがよくわかります。
なお、個人的見解ですが、先代アウトランダーから、お寺の住職とか代々続く小規模酒蔵の跡取りといった地味だけど「こっそり蓄えてる」系ユーザーが少なくないような気がします。その場合は、メインユースの1台になってることが多く、2台目のクルマに金をかけるのでなくカメラとかハイエンドオーディオといった「沼」系の趣味にぞっこんだったりね。
いずれにしろ、俗っぽくないクルマを選ぶことで、逆に豊かな暮らしぶりがにじみ出てくることもありそうです。素直にリッチ&ゴージャスなクルマに乗る方が、税務署の目をくらますには向いているのかもしれませんね。