この記事をまとめると
■いまでもたまに登場する女性向けグレードはいまから40年ほど前から存在した
■大人気キャラクターとのコラボモデルもあり注目されていた
■スポーツカーのベースモデルにも女性向けグレードが設定されていた過去がある
いま見ても新鮮な魅惑の女性向けグレードたち
声高に「女性向け」とは謳っていないですが、女性に大人気のクルマたちが注目を集めています。新型が登場したばかりのダイハツ・ムーヴキャンバスは、なんと初代の約90%が女性ユーザーだというから驚き。ロングセラーモデルのスズキ・アルトラパンも女性ユーザーが圧倒的に多く、最近はちょっと大人なかわいさのラパンLCという新デザインが話題です。
現在は、免許取得者の約半数は女性という時代ですから、そんなに女性向けとアピールしなくても、自然に女性ユーザーの目が向いてくれるのかもしれませんが、昔は違いました。1980年代から女性向けを謳った特別仕様車やグレードが相次いで登場したのも、数少ない女性ドライバーに真っ直ぐアピールするためだったり、当時は男性開発者ばかりがクルマを作っているなかで、女性の好みや運転しやすさなどを精いっぱい考慮した仕様が必要だという機運が高まってきた、という背景があったのだと思います。
でもそこで登場した装備から、現在は当たり前のように装備されるようになったものもあり、サンバイザーの裏側が鏡になっている「バニティミラー」はその好例。タイヤの角度が表示される機能やUVカットガラスなども、女性ドライバーの意見を参考にしたことから進化したと言われています。今回はそんな、自動車の歴史にも影響を与えた、懐かしの女性仕様車をご紹介したいと思います。
1台目は、おそらく日本で初めて登場した女性仕様車となる、ミツビシ・ミニカのエコノ マリエ。これは1982年に登場し、当時大人気だったミツビシの軽自動車を思いっきり女性好みに仕上げた(と思われる)ものですが、「とにかく女性はピンクが好きだろう」という、ちょっとステレオタイプな考えが感じられます。
カタログを見てみると、まず驚くのが一面真っピンクのインパネやハンドル、ドアパネル。もともと直線基調でシンプルだったミニカのインテリアが一変しています。そしてシートは、白とピンクのツートーンで、ちょっと50’sアメリカンな雰囲気。でもふっくらとしたクッションが座り心地良さそうで、天井の高さも足もとスペースもゆとりがあり、後席がフラットになってお買い物の荷物もたっぷり積めるようになっていました。
2台目は、インパクト十分の「麻美スペシャル」がもはや伝説となっている、スズキ・アルト。アルトは47万円という価格で度肝を抜いた初代から、働く女性をターゲットとしていたのですが、1984年登場の2代目に設定されたのが、女優の小林麻美さんをCMキャラクターに起用した女性仕様車でした。
スカートを履いた女性が乗り降りしやすいように、運転席の座面がくるりとドア側に60度動いてくれる「回転ドライバーズシート」が画期的。当時はエアコンが付いているのも贅沢でしたので、エアコン、AMラジオが標準装備というのも「女性は快適なクルマに魅力を感じる」という狙いでしょう。麻美スペシャルはなんとIIIまで登場し、チェック柄のインテリアやパステルピンク、パステルグリーンとホワイトのツートーンで内外装をコーディネートしたパターンなど、いろんなデザインがありました。