かつての「サハン」はステータス時代は終わった! いまどきの「左ハンドル」輸入車の現状とは (2/2ページ)

左ハンドルと右ハンドルの部品共用性を高めるなどの工夫も

 コスト面で考えれば、グローバルカーの場合、販売台数でもっとも規模が大きい中国、次いでアメリカを筆頭に、道路交通法で車両が右側通行でクルマは左ハンドルの国や地域が主流であり、少数派である右ハンドルを用意することはコストアップにつながる。

 ただし、近年は左ハンドル車と右ハンドル車で、開発・設計時点で部品共用性を高め、また製造現場でのさまざまな工夫によって、コストアップは最小限に抑えられるようになったと考えられる。また、欧州車の場合、英国のほか、右ハンドル仕様の仕向け地での販売が一定数以上あるという事実もある。

 こうして、日本における輸入車が、右ハンドル車が主流となった現在でも、左ハンドル車を好む人たちが一定数いるのが実情である。

 もっとも多いケースは、やはりアメ車であろう。アメ車の多くが地元アメリカ、または中国を主力市場としていることもある上で、日本市場での販売台数がドイツ車などに比べると少ないこともあり、左ハンドル車が主流となる。

 そのほか、イタリアン・スーパーカーも左ハンドルが主流だ。

 物理的に考えると、左側通行の日本で左ハンドル車に乗ると、道路脇で駐車した時にガードレールなどがあって降車しずらかったり、高速道路など有料道路の料金所で右に大きく手を伸ばす必要があるなど、不便な場面がある。

 だが、左ハンドル車を好んで乗る、または自分の乗りたい輸入車が左ハンドル車しかなければ、ユーザーにとって日本での左ハンドル車に対する不便さを感じるのではなく、左ハンドル車に乗ることが、クルマを楽しむという満足感を高めることにつながっているのではないだろうか。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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