原価問題を解決すれば新たな利用方法が生まれる可能性もある
さらに、社へ戻ったあと一晩充電すれば、翌朝の始業時にはほぼ満充電で出発できる。そうなると、帰社途中でガソリンスタンドに立ち寄る手間が減り、早く帰宅できる。コインパーキングに停車しながら、パーソナルコンピュータや通信を利用した事務処理を行うことがクルマで営業する人の効率化につながっている状況があるが、コインパーキングに充電設備が加われば、事務処理をしている間に充電もできる。
配送業では、郵政グループが三菱ミニキャブミーブを使い、郵便配達でもホンダの電気バイクの利用がはじまっている。あるいはHWエレクトロというベンチャー企業が、軽および小型商用としてEVの導入をはかっており、宅配業でも佐川急便が7200台の中国製EVを導入するとしている。ホンダは、2024年の軽商用EV導入へ向け、各業界と密接な情報交換をしているようだ。
大型車では、米国テスラがEVのトレーラーヘッドを開発している。トヨタは燃料電池車の導入を模索しているようだ。そして、ラスト1マイルの軽商用での配送を含め、来年から実証実験を行うとしている。
大型車は一方で、既存のリチウムイオンバッテリーや燃料電池スタックが、全負荷での走行領域の多い長距離物流では耐久性に懸念があるとの見解もある。
逆に、構内で利用するフォークリフトや搬送車は、排出ガスを出さないEVの利点を活かし、ことに搬送車では経路が決まっているので、床に配した磁気などの誘導で自動運転も行われている。
EVのよさは、屋内でもそのまま走れるところにある。物流においても、また福祉車両などでも、いまでは考えられない、道路と屋内の境を超えた移動の自由という使い勝手も、将来的には生み出されていくのではないか。