この記事をまとめると
■軽EVの受注が好調ななかで次に注目されるのは商用軽EVだ
■商用EVの課題は大容量のバッテリーや高性能なモーターの搭載による原価の高騰だ
■EVは屋内でもそのまま走れるため、これまでにない商用利用の可能性を秘めている
2024年にはホンダから100万円台の商用軽EVが登場する
軽乗用のEVである日産サクラと三菱eKクロスEVの受注が好調ななか、次に注目されるのは、商用の軽EVではないか。ホンダは、小型乗用のホンダeの次として、2024年に軽商用EVの販売を目指している。なぜ、商用車のEV化が注目されるのか。
乗用車と商用車の違いは、消費財であるか生産財であるか、にある。消費財とは、それを使って暮らしを豊かにするとか楽しむとか、消費者が喜ぶための商品といえる。対する生産財は、それを商売や事業で利用し、利益を生むための仕事で使う製品だ。したがって単にEVといっても、乗用EVなら多少価格が高くても、装備や走行性能などで利点があれば商品性を認められる。しかし、商用EVの場合は、それを使って利益を生むことが前提になる。
商用EVで最大の課題は原価だ。原価は車両価格に直結し、EVといえども安くなければ利益を生み出しにくくなる。徹底した原価低減策が必要だ。開発が容易でないのはいうまでもない。しかし、もし成果をあげられれば、そこから装備などを充実して乗用EVへ商品力を発展させ、エンジン車と競える車両価格の実現が見えてくる。
次に、一般的に商用車は原価が優先で、走行性能や快適性は二の次となりやすい。それでもEVであれば、モーター特性によって発進・加速は圧倒的に優れ、静粛性も高く、車載バッテリーの重さで乗り心地も向上する。
つまり、クルマで仕事をする人の労働環境が改善されるのだ。