【試乗】7人乗りSUVのEVがメルセデス・ベンツから登場! EQBは日本にピッタリの使えるモデルだった (2/2ページ)

コーナリング時はさすがの安定感のEQB 350 4マチック

 モード切り替えは「エコ」、「コンフォート」、「スポーツ」に加え、「インディビデュアル」の4モード設定とした。「エコ」モードでも不満のない走りを披露するが、守備範囲が広く冴えた加速を見せるのは「コンフォート」だ。「スポーツ」モードはシャープだが、やや気忙しい。

 ちなみに回生レベルもステアリング外側のパドルを使って4段階に調整することが可能だ。回生レベルを強めればワンペダルドライブになり、慣れるとラクである。だが、最後はブレーキを踏んでクルマを止めるチューニングとした。多くの人はこのほうが安心して運転できるだろう。

 また、前走車との距離をレーダーによって捕捉し、回生レベルも自動調整してくれる「Dオート」は違和感なく使え、重宝した。高速走行では上手にコースティングし、電費を稼ぐことにも驚かされる。

 4輪駆動の350 4マチックは、後部にもモーターを配した。フロントの誘導モーターのスペックは、最高出力が143kW(194馬力)/5800-7600rpm、最大トルクが370Nm(37.7kg-m)/0-3600rpmだ。リヤの同期モーターは72kW(98馬力)/4500-14100rpm、最大トルクは150Nm(15.3kg-m)/0-4500rpmを発生する。

 計算上のシステム出力は215kW/520Nmで、車両重量はわずか60kgの増加だから豪快な走りを披露した。ちなみに0-100km/h加速はEQB 250が9.2秒だ。これに対しEQB 350 4マチックは3秒も短い6.2秒で駆け抜ける。力強い加速を見せるが、荒々しさは皆無だった。マルチシリンダーの高性能ガソリン車のように上質なパワーフィールで、息継ぎなしに気持ちよくスピードを乗せていく。鋭い応答レスポンスとシームレスな加速感も内燃機関とは違う新鮮な感覚だ。

 前後アクスル間のパワーバランスを走行状況に応じて毎秒100回の頻度で高度に調整する最新の電動4WDシステムは、とても賢い。主役を担っているのは、リヤのモーターで、フロントのモーターは高負荷時などにサポート役として使う味付けとした。だからフロントが引っ張るよりも後ろから押される感覚を強く感じる。街なかを流す走りではリヤ駆動のBEVを運転しているような雰囲気だ。

 パワーをかけていくとフロントモーターが稼働するが、巧みな制御と相まって滑らかな加速と落ち着いた挙動を披露した。コーナーや急加速時の舵の落ち着き、コーナリング時の安定感はEQB 250の一歩上をいく。AMGラインは、アジャスタブルダンピングシステム採用のスポーツサスペンションを装着し、ダイレクトステアリングも装備する。2インチアップした20インチタイヤを履くが、荒れた路面のいなし方や接地フィールは標準サスペンションより上手だ。懐の深い走りを見せ、ブレーキング時の挙動の乱れも小さい。

 キャビンは2列目までなら不満のない広さを確保している。アップライトな姿勢だから運転席からの見晴らしはいい。2列目は少しフロアが高くなっているが、足もとだけでなく頭上も不満のない広さだ。3列目はミニマムな空間で、窮屈だが、短時間の乗車なら大人でも耐えられるだろう。ラゲッジルームも実用になる広さだった。3列目に座ったときの荷室容量は110リットルだが、3列目を畳めばバックレストの高さまででも465リットルを確保した。2列目を前に出せば奥行きは1mを超える。

 どちらのグレードを選ぶか、迷うところだ。どちらもバッテリー容量は同じ66.5kWhだが、WLTCモードでの航続距離は新開発の同期モーターを搭載したEQB 250が528km、4輪駆動のEQB 350は468kmとなっている。多くを望まなければEQB 250で満足できるだろう。だが、EQB 350との価格差は82万円だ。4WDならではの安心感や走りの実力を考えると、買い得感は高いように感じられる。そして余裕がある人には、走りが楽しいAMGラインパッケージをおすすめしたい。


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