この記事をまとめると
■大型トレーラーの運転は慣れと経験が物を言う職人技だ
■教習所で教わることはできるが実際に道に出るとその通りにいかないことが多い
■練習は会社でできる場合もあるが、実際に現場に出て覚えることが多い
まさに職人技! 大型トレーラーの運転はどこで習う?
商用車の世界というのは、働くクルマとしての魅力に溢れていてファンも多い。憧れすぎて免許だけでもいいから取得してしまったという猛者もいるほど。免許は教習所で取れても問題は実地で、普通車やバイクであれば緊張はするものの最初から普通には運転はできる。しかし商用車ともなるとサイズが大きいゆえに、習ったことは役に立たなかったりする。代表例は牽引、つまりトレーラーだろう。
また、免許と実車がかけ離れているという点では、大型特殊も同様で、こちらは小さなバケット車を使って数時間で取得できるのに、実際には超大型重機も運転できてしまうという不思議な免許種別だったりする。
トレーラーに話を戻すが、なにが難しいかというと、その大きさもさることながら、独特なハンドルさばきにある。とくに問題なのはバックで、通常は右に切れば右に曲がるし、左も同様。トレーラーの場合、必ずしもそうでなくて、右に曲がりたいときは左に切ることもあるし、切りすぎると連結部分で大きくふたつに曲がってしまう。しかも積み荷は重量があるので、スムースに動くわけでもない。
さらに現場は狭いところもあって、牽引するトレーラーヘッドは真っ直ぐなのに、荷台は押し込むように曲げていくというようなテクニックも駆使。狭い道での切り替えしも、前後させながら細かく切ってクリアしたりして、まさに超絶テクニックの連続だ。そのあたりを細かく撮影した映像は動画サイトでも人気のジャンルで、なかにはアメリカで巨大なトレーラーを操る日本人のチャンネルもあったりするほど。
しかし、ふと思うのが、これらのテクニックはどこで学んだのか、ということ。教習所でもバックは重点的に教えてもらえるが、それでも実際にはまったく通用しないということは素人でも想像がつく。しかも、現役ドライバーに聞くと、教習所には行かず、いわゆる1発で取った人もけっこういる。
まず多いのは大型車からの乗り換えで、操作性は違うにしてもすでに現場感や巨大な車両を扱うのに慣れていることが多い。そのうえで、ベテランの隣での「横乗り」と呼ばれる研修を受けた上でデビューすることが基本だ。ただ会社の敷地内での練習については、トレーラーヘッドは会社の所有でも荷台は別なことが多いので、必ずできるわけではない。
それでも独り立ちしてうまくいくわけがないのは事実。自在に操っている人でも「1年ぐらいは緊張しっぱなし」と口を揃えて言うし、「誰でも1度ははまり込んでニッチもサッチもいかなくなったことがあるはず」とも。さらに「若いうちから乗らないとダメで、歳を取って乗り始めるのは無理」という厳しい意見もあるほどで、まさに職人の世界。雰囲気だけ味わいたいなら、ボートなどを乗せて引っ張る小さなトレーラーやキャンピングトレーラーで十分。これでもけっこう気を使うハズだ。