雨でも視界良好! 騒音も少ない! 世の中全ての道路に採用してほしい「排水性舗装」のたったひとつの弱点とは (2/2ページ)

EV時代を支えるインフラのひとつとしても期待大

 一方、弱点もある。舗装表面が粗いということは、大型車などの通行が頻繁だと、経年変化によってその重さで目が詰まってしまい、効果が薄れてしまう。目詰まりを起こさないよう、定期的な補修が必要だ。その分、手間が増える。維持管理費が高くなるということだ。

 そこで、排水性舗装の多くは、高速道路や主要国道などが中心になる傾向にある。

 今後、クルマの通過騒音御規制が強まる予定だ。すでにエンジンの排気音はかなり抑えられており、スポーティな車種の胸を躍らせる音などは、車内のみに聴こえるようスピーカーで擬音を流す措置が採られはじめている。

 一方、タイヤ騒音は、接地面のゴム質や、接地面のパターンを工夫し小さめのブロック形状にするなど、永年の騒音対策があるが、高いグリップを必要とする高性能車用タイヤについては、大きめのブロック形状を確保したい。しかしそれでは、タイヤ騒音が大きくなる。小太鼓より大太鼓のほうが大きな音が出るのに似ている。

 そこで、クルマやタイヤそのものの改善は不可欠だが、道路舗装の工夫を加味することで、通過騒音を低減することも並行して行う必要が出るかもしれない。それには、高速道路や主要幹線国道だけでなく、一般道も排水性舗装に転換していくことになる。

 だが、先にも述べたように、維持管理に手間や費用が余計に掛かる可能性が出るので、原価低減や自治体予算などを考慮しなければならなくなる。

 排水性とタイヤ騒音を改善でき、なおかつ施工はもちろん、その後の保守管理を安く賄える舗装技術が、EV(電気自動車)時代を支えるひとつの要件にもなっていくかもしれない。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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