プラモじゃなくて実車なのに「ノリ」でくっつけて大丈夫!? 最近よく聞くクルマの「構造用接着剤」って何? (2/2ページ)

軽量で加工しやすい鋼板でも剛性アップが可能!

 ここで構造用接着剤のメリットをまとめておこう。

 鋼板の接合をスポット溶接で行なうと文字通りスポット=点接合になってしまうが、構造用接着剤なら面接合になるので、ボディ剛性がアップする。

 これまで、ボディ剛性を高めるには、スポット数を増やしたり、鋼板を厚くしたり、加工しにくい強度の高い鋼板を使用するしかなかったが、構造用接着剤を使うことで、軽量で加工しやすい鋼板でも剛性が出せるようになる。

 また、スポット溶接、ねじまたはリベットでの接合は、一部に応力が集中してしまうが、構造用接着剤を使えば接合部分の荷重を全体に分散することが可能。接合面が凸凹しないのできれいに仕上がり、外観の手直し、研磨などの工程が減らせる。

 溶接などと違い、高い専門スキルが不要になり、疲労や作業時のリスクも軽減。作業時間の短縮にもつながる。

 その他、防錆、NVH性能の向上、パネルの疲労や樹脂の劣化の軽減なども構造用接着剤のメリット。

 デメリットは失敗した時にやり直しが困難だったり、構造用接着剤の種類が多く選定に悩むといったことが挙げられるが、日進月歩で技術改良が進んでいる分野でもあり、これからますます使用範囲が広がっていくはず。

 トヨタなどでは、スポット溶接と構造用接着剤の併用接合(ウエルドボンド工法)も採用。破壊に対する強度も高くなってきている。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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