ドライバーが操ってみて感じたGR86 GTの印象は?
以上、金曽氏にGR86 GTの特徴を解説してもらったが、実際のフィーリングはいかがだろうか? というわけで、aprで30号車のapr GR86 GTのステアリングを握るドライバーのひとり、織戸学選手にインプレッションしてもらった。
──GR86 GTはベース車両と似た感じはあるんでしょうか?
織戸選手:aprはベース車両のいいところを利用しながら。レギュレーションに合わせたマシン開発を行っているので、GR86のエッセンスはありますよ。でも、エンジンを含めてまったく違うクルマなので乗り味は違います。
──昨年までドライビングしていたGRプリウスと似た感じはあるんでしょうか?
織戸選手:プリウスから作るGTマシンとGR86から作るGTマシンは“入口”が違うからね。同じパーツを使っていても、まったく別のクルマですね。GRプリウスよりは良く曲がります。
──先ほど金曽監督に話を聞いたら、コーナリングマシンとおっしゃってましたが、やはりハンドリングはいいですか?
織戸選手:完全なコーナーリングマシンですね。コースで言えば、鈴鹿やSUGOみたいにスピードを落とさずに旋回できるようなコースは速い。逆に富士みたいなストップ&ゴーのレイアウトは厳しそうだし、リストリクターも小さくなったからね。5月の富士はあまり良くなかったけれど、昨年からGRスープラは速かったので、うまく煮詰めることができれば悪くないのかもしれないですね。
──市販モデルのトヨタGR86とスバルBRZは兄弟モデルですが、GTカーではGR86 GTと61号車のスバルBRZ GT300は似ているところがあるんでしょうか?
織戸選手:61号車もコーナリングマシンだと思いますが、全体的にはぜんぜん違いますね。でも、スバルBRZは市販モデルと同様に水平対抗4気筒エンジンを搭載しているのでベース車両に近いイメージなのかもしれません。
──GR86の弱点はどこですか?
織戸選手:ストレートが遅い。その分、コーナリングで頑張るしかないし、単独で走る分にはタイムが出るんですけど、スタート直後の団体で走っている時はやられてしまう。
──GR86で近いうちに勝てそうですか?
織戸選手:aprはラウンドを重ねるごとにクルマのポテンシャルを上げてきているし、素材の良さを生かしながら、GRプリウスでやってきた経験を注ぎ込んでいるので最初の2戦は苦労したけれど、短期間でセッティングが決まりはじめた。確実に進化しているので手応えはありますよ。
残念ながら第4戦の富士の予選ではSHADE RACINGの20号車の15位がGR86勢の最上位で、決勝でもaprの30号車の15位が最上位となったが、新型フレームを採用したGR86 GTは確実に進化を重ねているだけに、シーズン終盤ではトップ争いを繰り広げるに違いない。