エンジン車が生き残るかどうかは化石燃料次第
100%電動の電気自動車では、航続距離を確保するためには多量のバッテリーが必要となる上に、充電に要する時間が長くなってしまうというウィークポイントがある。給油することで短時間の停車で走り続けることのできるエンジン車は、極限状態で信頼できるのは間違いない。
エンジンだけのパワートレインを選んだ理由は、単純に航続距離の問題とはいえない。航続距離を伸ばすということだけでいえば、ハイブリッドシステムを採用したほうが有利なのも事実だからだ。トヨタの横置きハイブリッドシステムでいえば、商用車のプロボックスにも使われているほど耐久性には定評あるところで、そうした技術を応用すれば、よりロングレンジを実現できるようにも思えるが、そうはしなかった。
つまり、現時点では、トヨタさえも電動パワートレインの信頼性はエンジンのそれには敵わないと考えているといっていい。
砂漠のような環境における微小な砂ぼこりに対する電動系のリスク、車両の半分程度までが水に浸かるような渡河でのバッテリー保護といった極限での信頼性を考えると、ランドクルーザーの基準においてハイブリッドの採用さえも難しいという面があったのだろう。
ランドクルーザーに求められる性能を実現するには、電動化は1ミリたりとも考えられないというのが、トヨタの判断であり、2020年代におけるエンジン車のアドバンテージといえる。
ただし、エンジン車の価値が維持されるためにはガソリンや軽油といった化石燃料が安定供給されることが大前提となる。世界的にCO2排気量を減らすという目標に向かっている中で、化石燃料の供給量が減っていくことは容易に想像できる。燃料がなければエンジンというのは、ただの金属ゴミとなってしまう。エンジン車が求められる状況が永遠に続くのかといえば、大いに疑問なのもまた事実だ。