創業者のフェルッチオも天国で感動していたに違いない性能
たとえばフロントボンネット上に設けられた大きなエアアウトレットは、フロントのバンパースポイラーから効率的に導入されたエアをここから排出する過程で、ダウンフォースの発生も担うエアロパーツとしても機能させているし、そのダウンフォースのほとんどはボディ下部のヴェンチュリートンネルによって生み出される。
また、ヘキサゴン(六角形)は、当時もいまもランボルギーニが好んで用いるモチーフだが、それもこのチェンテナリオではサイドウインドウや前後フェンダー、サイドステップによって構成されるラインでも再現。エンジンカバーにもデザインのキーファクターとなる、そのヘキサゴン・デザインが採用されている。
リヤのデフューザーは相当に大きなサイズで、さらにテールエンドには走行モードや車速などの条件によって150mmまでライズアップ、かつウイング面が15度まで回転するオートマチックウイングが装着される。
チェンテナリオの基本構造体は、もちろんカーボン製のモノコック。それはボディも同様で、結果、車重は発表時のデータによれば1520kgを主張していた。参考までにモノコックの捻じり剛性値は3万5000Nm/度とされる。
ミッドに搭載されるエンジンは、アヴェンタドールに搭載される6.5リッターのV型12気筒自然吸気をさらにチューニングしたもので、その最高出力は770馬力。これはアヴェンタドールの高性能仕様であるSVと比較して、さらに20馬力のエクストラを得た計算になる。ミッションはシングルクラッチ式の7速ISR。駆動方式は電子制御の多板クラッチをセンターデフに用いたAWDとなる。
プッシュロッド方式のサスペンションも、アヴェンタドールのそれとデザインは共通だが、チェンテナリオでは、ランボルギーニ初の機構としてリヤホイールステアリング、すなわち後輪操舵のシステムが採り入れられた。電子制御による磁性変化によって特性を瞬間的に変化させる磁気粘性ダンパーやLDS(ランボルギーニ・ダイナミック・ステアリング)の設定も、チェンテナリオのキャラクター、あるいは後輪操舵の採用によって見直された。
スタートから300km/hまでの加速を23.5秒で終了し、最終的には350km/h以上の最高速に到達するというチェンテナリオ。天国のフェルッチオも、そのフィニッシュには大いに感動しているに違いない。