ディーラーの販売員が頼れる「クルマ博士」だったのは昔の話!? クルマ好きが激減したイマドキの新車販売現場 (2/2ページ)

商談前には購入検討車についての予習をしておくことが大切

 “好きこそものの上手なれ”と前述したが、“オタク”レベルの商品知識量を持っている新人セールスマンは、同期に比べお客への説得力があるようで、値引き額が少なくて契約へ持ち込むケースが目立っていたとも聞いたことがある。さらに、メカニックから新車販売へ転用されたスタッフは、クルマ好きに加えてメカニズムに精通しているので、優秀なセールスマンになることが多いとのことである。当時は目を見張る大幅値引きがいま以上に当たり前とされていた時代であったが、説得力のある商談ができれば信用力が高まり、必ずしも値引きは“荒れなかった”のである。

 いまどきの新車販売を志望する学生も、クルマへの興味が動機かと思えば、“メーカーの看板を背負っている地方の有力企業”という、安定感を求めて志望する学生も目立つとのこと。強い興味を抱くケースは少ないようだ。昔と違い、いまは基本給が手厚くなっているし、販売現場も一匹オオカミでバリバリ売りまくるより、“みんなで仲良く売り上げをアップさせましょう”的なノリになっているので、昔は購入したセールスマンがすぐに転職していなくなるといったことも多かったが(より高い報酬を求めて)、いまではそれも珍しいことになってきているようだ。

 若手セールスマンは“好きこそものの上手なれ”というわけではなく、仕事上必要にかられて商品知識を覚えたといった印象で、情報量は豊富だがどこか優等生的な説明に終始するため、説得力に欠ける印象を受ける。少なくとも「このひと本当にクルマ好きなんだなあ」というものは伝わってこないことが多い。そもそもクルマ好きうんぬんは抜きにしても、運転免許を持たずに新車ディーラーへの入社を希望する学生もいるというから、「18歳になれば運転免許をとり、社会人になったらまずマイカーを持つ」という時代に青春時代を過ごしてきた筆者からすると、理解するのに時間がかかる状況となっている。

 だからこそ、時たま “クルマ大好き”のような新人セールスマンに出会うと、オジさんの筆者としては、まさに目頭が熱くなってしまうこともある。

 何がいいたいかといえば、新車販売のセールスマンは“自動車博士”の集まりではないということ。その興味の度合いや知識量は新車を買おうと考えている人と大差がないことが多いので、セールスマンに過剰に頼ることなく商談前にはある程度の予習をしておくのが大切。セールスマンからは、経験則に基づいた情報(どんなオプションをつける人が多いかや、リセールバリューの予測など)を得て、自分が集めた情報をアップデートさせながら、値引き交渉を進めるのがベストといっていいだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報