この記事をまとめると
■バブル時代、新車ディーラーのセールスマンにはクルマ好きが多かった
■しかし近年ではクルマが好きでディーラーに勤める人は決して多くない
■商談前にはある程度、購入検討車についての予習をしておくことが大切
かつて新車ディーラーのセールスマンにはクルマ好きが多かった
新車販売のセールスマンをやっているから、必ずしもクルマ好きというわけではない。だからといって、仕事として割り切って従事していることを否定するつもりはもちろんない。ただ、“好きこそものの上手なれ”がより顕著な業種であるということも言っておきたい。
日本で本格的に新車ディーラー網の整備が始まった、1960年代後半から70年代ごろは、“市場が縮小していく一方”と心配される最近の日本国内の新車販売状況に比較しても、市場規模は小さかった。そのため当時は、新車販売を“正業”として捉えて参入してくるケースは稀で、各地域の有力企業や地元の名士がサイドビジネスとして“新車販売業”を始めたケースが多かった。
当然、そこで働くセールスマンも異業種で販売経験のある人が“流れてくる”ケースが大半であった。そもそも新車は高額商品であり、当時は圧倒的に歩合給の比率が高かったので、いわば“一攫千金”を当て込んで流れてきたのである。事情通によると「かつてバブル期に入社したセールスマンに聞いた話では、就職活動の時に役員面接に進み、複数人の役員の面接を受けた時に、それぞれの役員が“私はかつて宝石を売り歩いていた”などと武勇伝を語ってくれたと話していました。当時は新車以外でも訪問販売が当たり前の時代に新車販売の世界に飛び込み、まさに“腕一本”で新車を売りまくった人たちが役員に名を連ねていましたが、総じてはじめからクルマに強い興味を抱いていたようには見えなかったそうです」とのこと。
バブル期になり、四年制大学卒業など新卒採用を積極的に行うようになると、トヨタ系ディーラーを例に挙げると、“マークⅡに乗りたいからトヨペット店”とか、“86(AE86)で学生時代競技してきたのでカローラ店”といった形で、方向性は一貫していないものの“クルマ好き”が新車販売の世界に飛び込んでくるケースが目立っていた。