究極の308シリーズが誕生しそして328シリーズへ
しかし、フェラーリにとって最初に誕生した308GTBの255馬力から214馬力にまでパワーダウンを余儀なくされたV8 2シーターは、やはりいつまでも市場に置いておくべきモデルではなかった。1982年のフランクフルトショーで、フェラーリはさらなる進化型となる308GTB/GTSクワトロバルボーレを発表してきたのである。
クワトロバルボーレとはイタリア語で「4バルブ」を意味する言葉で、それはすなわち、それまでのシリンダーあたり2バルブを4バルブに変更したことを物語っていた。バルブ面積の拡大、吸排気効率の最適化、燃焼効率の改良と、さまざまな改良が施されたクワトロバルボーレのV型8気筒エンジンは、最高出力で240馬力を達成。
ここまでが308シリーズの簡単なモデル変遷となるが、この間生産された台数は1万3130台。商業的にはそれは大成功だったといえるだろう。
だが、308シリーズの進化はそれでは終わらなかった。1985年のフランクフルトショーにおいて、フェラーリは328GTB/GTSを発表。それはこれまでの308シリーズのスタイリングを基本的にそのまま継承し、バンパー形状やフロントグリルの大型化など、ディテールの変更を行ったスタイルを持つものだった。
搭載エンジンは3.2リッターに拡大され、最高出力はヨーロッパ仕様では270馬力に。ここに至ってようやく、フェラーリは308GTBの255馬力というスペックを超えることに成功したのである。
328シリーズの生産期間は1985年から1989年までだが、途中1987年頃からフレームの改良などが行われるなど、同じ328でもいわゆる前期型と後期型が存在する。
実際に販売された328シリーズはおよそ7400台。そして328シリーズの生産中止、すなわちその後継車となった348tb/tsの誕生をもって、308/328シリーズの長い歴史には終止符が打たれたのである。