この記事をまとめると
■クルマは約3万点の部品からできていると言われている
■旧車の維持でキモとなるのがパーツの確保
■しかし入手が困難なものもある
博物館のクルマも窓枠にはヒビが入っていることが多い!
クルマは約3万点の部品からできていると言われている。そのなかにはクルマを維持するのに欠かせない部品が多くあり、この点が旧車を維持するにあたって問題になることが多い。部品がないと走ることすらできなくなることもある。
ただ、本当になくて困る部品というのは、けっこう少ない。エンジン関係は幅広い車種に使われていることも多く、流用がきくし、中古も探せる。足まわりも同様で、オリジナルにこだわらなければ走ることはできる。
さらに大物であるボディパネルは、叩いて作ったり、FRPにしてしまうという荒わざもあるし、一見すると製作困難なガラスも数がまとまれば作ることは可能。この“数がまとまれば”という点では、ピストンやバルブ、スプリングなど、けっこうなものを作ることが可能だ。ただ、実際には費用が莫大にかかり、現実的ではない額になってしまう。そうしたパーツの製造という観点から見れば、同じ旧車でもマイナーモデルよりもメジャーモデルのほうがまだ現実的だ。
一方で、作ることができないのが、タイヤや内装の表皮など。実際にレストアの現場を取材していても、1980年代の内装に使われていた安いスナックのソファーみたいなフカフカしたモケットの新品は見たことはない。またエンジンブロックやミッションケースといった大型鋳造品も、莫大な予算をかければできるだろうが、実際は難しいだろう。
と、ここまではパーツの新規製作という点で見てみたが、現実には旧車維持で困っている人が多いのはそこまでのレベルではなく、クルマのメンテとして当たり前の消耗パーツ類。エンジンでいうと、ピストンやバルブまわり。ミッションだとシンクロひとつ探すのも大変というか、ちょっと高くても手に入ればいいほう。オーバーホールなどの分解には必須のガスケットやオイルシールが手に入らないため、結局オーバーホールせずに、ダマシダマシ使うということもある。
ボディまわりでは、ウエザーストリップやレンズ類は厳しい。その証拠にメーカー系の博物館に行ってよく見るとわかるが、きれいに仕上げられていても、窓枠などはヒビが入っていたり、うまく補修している車両が多い。自動車メーカーの再生でもそうなのだ。
そして部品供給で恵まれていると言われていた海外勢も、ここ最近は部品の生産中止が増えている。日本車とまでは言わないが、維持するのに困難な時代が到来していると言っていい。新車ですらパーツが滞ったり、素材が高騰しているなか、旧車の面倒を見る余裕がないうえに、電気自動車へのシフトも関係なくはないようで、この点でもガソリン車の肩身は狭くなっていくばかりだ。