よく見ると先代を踏襲している部分も
しかし、激変した16代目クラウンとはいえ、リベンジとして世界で勝負する4車種をよーく見てみると、クロスオーバーモデルの場合、SUVというよりトランクを持つセダンライクなパッケージングであることがわかる。ルーフラインにしても先代に似ているし、最低地上高に至っては145mmと、走破性よりもクラウンならではの乗降性の良さにこだわったサイドシル、シートの適切な高さを維持しているのである。
もちろん、クラウンの王冠エンブレムは健在。トヨタ車の車体のエンブレム、ステアリング中央のマークはトヨタマークであるのが当たり前だが、国内仕様のクラウンは新型でもあくまで王冠エンブレムを誇らしく付けている。どれだけコンセプトやデザインが今日風にアップデートされても、若々しいセダン、エステートが存続する事実からも、クラウンはクラウンであり続けるということの証明だ。
「若い人が乗っていても、親のクルマだとは思われない。女性が乗っていてもご主人のクルマだとは見られない……」。ワールドプレミアの壇上で豊田章夫社長が語られたその言葉にも激変した16代目クラウンの本質のひとつがあり、新しさが込められているように思える。それはクラウン=保守的なオヤジセダン(あるいは13/14代目の覆面パトカー!?)というイメージからの解放、決別ではあるものの、クラウンを存続させなければならないというトヨタの強い想いを実現し、クラウンを未来へ導くための勇気ある決断と言えるだろう。
とはいえ、まずは乗って、走らせてみないと、新型クラウンが本当にクラウンであるのか(その意味を含めて)はわからない!? おそらく新型クラウンの走りは先代から採用されたTNGAプラットフォームの進化もあって、歴代クラウンから大きく飛躍していることは間違いないはずだが、極めて抽象的と表現するしかない”クラウンらしさ”をどう伝えてくれるのか? 結論はそのときまでお預け、ということになるだろう。4種のラインアップ、激変したデザイン、駆動方式などだけで(ただし、セダンの駆動方式だけはFRを踏襲する可能性も否定できない)、新型が「クラウンらしくない」と判断するのは早合点ということになるかも知れない。セダンが正式発表されるまでは……。