この記事をまとめると
■駐車場の天井を見上げると、モコモコしたもので覆われていることがある
■これは「ロックウール」という断熱材
■ロックウールには火事の被害を最小限に抑えるなどの効果がある
モコモコの正体は「ロックウール」という断熱材
いつも、なにげなく利用しているショッピングモールなどの立体駐車場や地下駐車場。ふと天井を見上げてみたら、何やらモコモコしたもので柱などが覆われていることがあります。皆さん、気になったことはありませんか? 以前、人体に悪影響を及ぼすとして問題となった「アスベスト(石綿)」に見た目が少し似ているため、勘違いする人もいるようですが、アスベストは1975年ごろまで多く使われていたのですが、現在は日本では使用が規制されており、過去に使用された建物などについても廃棄工事が進んでいます。
近ごろよく見るモコモコは、「ロックウール」という断熱材。岩石やスラグなどの鉱物を1500度〜1600度程度の電気炉で溶解しながら、繊維状にして作られるものです。国際がん研究機関によって発がん性がないことが報告されており、安全な建材として使用されています。ただし、施工時期が1980年代くらいまでは、「吹き付けロックウール」と呼ばれるものでも、アスベストが混ぜてある場合もあったようなので、注意が必要です。
なぜ、天井にロックウールを施工するのか。それは、鉄骨造の建築物に一定の「耐火被覆」を施すことで、建築基準法によって耐火建築物とみなされることが定められているからです。鉄骨造の骨組みを守るために、耐火性や断熱性の高い材料で鉄骨を被覆することでその基準が満たされるのですが、その耐火被覆に用いられる素材として、ロックウールがよく使われるということなのです。
ロックウールは耐火性が高く不燃性のため、万が一火事が起こってしまった際に被害を最小限に抑えることができます。また保温性に優れ、耐水性もあるので結露が防げることも特徴。繊維と繊維の間にたくさんの空気が含まれるため、吸音材として騒音を抑えることを目的として使われることもあります。
ただ、デメリットとしては、耐水性はあるものの湿気に弱いということがあり、経年劣化などで落下・脱落する場合があることです。モコモコとした素材のため、鳥などが巣を作りやすいという事例も報告されています。鳥がロックウールにとまり、飛び立つ際にロックウールが飛散した、ということもあるようです。もし、天井にロックウールが使われている駐車場に停めていて、戻ってきたらボディに粒のような汚れが目立ったりしたら、それはもしかするとロックウールが落下したのかもしれません。むやみに擦ったりするとボディを傷つけてしまう可能性もありますので、注意が必要です。
ということで、よく使う立体駐車場の天井がモコモコとしていたら、剥がれ落ちているような状態ではないかどうかを確認して、心配な場所の下には駐車しないようにするなど、ちょっと気をつけてみるといいですね。