重量増は走りや燃費に影響
続いて、「狭い場所で開け閉めできること」。近ごろはクルマのボディサイズがどんどん拡大しているのに、駐車枠の大きさは昔と変わっていないところが多いので、ちゃんと枠内に停めても隣りのクルマとぎゅうぎゅう、なんてこともありますよね。そんな時、ヒンジドアだとそっと注意しながら開けて、細い隙間から出なければいけなかったりしますが、スライドドアは15cm〜20cmほどの隙間があれば、大きく開いて乗り降りできるというのがメリット。マンションなどで立体駐車場のところでも、スライドドアなら開けやすい場合も多いですね。ヒンジドアは強風の日に隣りのクルマにぶつけてしまいそうで気を使ったり、子供が自分で開けてぶつけてしまった、なんてこともありますが、そんなシーンでもスライドドアは安心です。
さて、ではスライドドアのデメリットとはなんでしょうか。まず見た目の問題として、生活感が出やすい、商用車に近くなってしまう、というのはよく言われるところです。走りにこだわる人にとっては、スライドドアを装備すると重くなり、運動性能に不利になるし、開口部が大きいということは、それだけボディに空間があるということなので、ボディ剛性を確保するのも大変。それが操縦安定性には不利になるのも事実です。スライドドアは全高が高いボディに装備されることが多いので、それだけ重心も高くなりがちというのも、走りにこだわる人には気になるポイントでしょう。
また、重量が重い、空気抵抗も悪いともなれば、燃費も悪化します。最近はハイブリッドのスライドドア車も増えていますので、燃費が気になる人はチェックしてみてくださいね。ただ、スライドドア車はヒンジドア車に比べて車両価格が割高なのがデメリット。ハイブリッドのスライドドア車は、さらに割高になってしまうので要チェックです。
そして普段使う上でのデメリットといえば、開閉に時間がかかること。ヒンジドアなら急げば1〜2秒で開け閉めもできますが、電動のスライドドアだとそうはいきません。車種によってマチマチですが、だいたい5〜8秒くらいかかるものが多いです。スライドドアの必要性を感じない人のなかには、それを待っている時間がもったいないという人もいます。電動ではないスライドドアなら、もう少し早く開け閉めできますが、それにはけっこう力がいるため、非力な人には負担になりますね。
ということで、子育て世代や荷物が多い人、お年寄りを乗せる人、多人数で乗ることが多い人、駐車場が狭い人など、スライドドアが向いていて、一度使ったら手放せないくらい便利さを享受できる人もいます。その反面、ひとりで乗ることが多い人など、まったくメリットが感じられない人もいますので、自分には向いているかどうかチェックしてみることが大切です。