「エリマキトカゲ」「カッコインテグラ」「くうねるあそぶ」! CMが大ヒットしたクルマは果たして売れたのか? (2/2ページ)

クルマをCMのイメージだけで売るのは不可能

 そこでクルマでは、1990年に発売されたマツダのオートザムレビューが、小泉今日子さんをCMに起用した。レビューはボディに丸みを持たせた背の高い4ドアセダンで、かなり個性の強い車種であった。果たして売れるのか!? と注目していたら、小泉今日子さんのCMジンクスは、見事に破られたのだった。「流石のキョンキョンも、レビューには勝てなかったねぇ」と話題になったものだ。

 クルマには嗜好品的な性格があるものの、高額商品だから、CMのイメージだけで売るのは不可能だ。2代目ミラージュやレビューが、売れなかったのは当然だろう。

 しかし今の時代はさらに悪い。印象に残るクルマのCMがほとんどないからだ。この背景にはTVの視聴率が大幅に下がったことが挙げられる。TV局のディレクターは「昔のドラマは、平均視聴率が30%を超えることも多かったが、今は動画サイトが人気を高めたこともあって大半が10%台だ。25%を超えると、ネットのニュースになる」という。

 それでもクルマのCMは大切だ。妙な見せ方をするのではなく、クルマが走っている姿をひたすら美しく映して欲しい。かつてはそのようなCMを観て、クルマに憧れる気持ちを沸き立たせた。いろいろと原点回帰が話題になる昨今だから、クルマのCM作りでも、かつての映像を改めて見直したらどうだろう。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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