王冠マークは絶対に外せないクラウンの証
一方、激変したエクステリアに対して、現時点で4モデル中、唯一公開されているクロスオーバーモデルのインテリアは、これまでのクラウンユーザーでも違和感なく付き合えそうな、しかし”クラウンとしては”先進感あるデザイン、機能が盛り込まれている。もっとも、メーターとセンターディスプレイが横並びのレイアウトはアリアなどでも採用されているから、ことさら目新しいものではないとも言えるのだが。
新型がクラウンらしからぬクラウン(全幅の拡大も含めて)。そう感じる人も多いはずだが、「クラウンらしさ」の定義が難しいのは、ワールドプレミアの壇上で豊田章男社長やミッドサイズビークルカンパニーの中嶋裕樹プレジデントが語るように、クラウンを知る人が「なんだかクラウンらしいよね」とか「リラックス感、上質さ加減、乗り心地」といった、かなり抽象的なものだからだ。
そもそもゼロクラウンで走りを特化させ、先代モデルではかなりクーペライクなスタイリングを纏って若返りを果たそうとした経緯からも、トヨタのフラッグシップとしての進化こそが、クラウンらしさと捉えても良さそうなのである(答えになっていないが)。
が、クロスオーバー”風”モデルとして生まれ変わった新型にも、これまでのクラウンらしさはしっかりと残っていた。これまた抽象的だが、クラウンと言えばロイヤルカスタマーを満足させるもてなし感はマスト。それはセダンでなくてもしっかりと継承されているようだ。
そして後席用の前席背後にあるアシストグリップ、前席シートベンチレーション、先代Gエクスクルーシブグレードにあった豪華な後席センターコンソール(シートリクライニングやエアコンコントロールなどが行える)、まさにクラウンならではのもてなし装備である。クラウンユーザーにはゴルフ好きも多いはずだが、流麗なルーフデザインを持つ新型でもゴルフバッグ3個が入る大容量”トランク”が備わっている(先代は4個だから後退!?)。
そう、クロスオーバー”風”モデルでも、SUVのようなテールゲートではなく、セダンタイプのトランク(トランクスルー付き)を持つのが、大きな特徴、クラウンらしさと言っていいかも知れない。
もちろん、古くからのクラウンのロイヤルカスタマーが運転席に座れば、確かにインパネデザイン、メーターとナビディスプレー画面が横一直線に並ぶ先進感ある今日的レイアウトなどに驚きを隠せないだろうが、そこはクラウン。ステアリング中央に埋め込まれているのは、トヨタ車では当たり前のトヨタマークではなく、まごうことなきクラウン伝統の王冠のエンブレム(北米仕様はトヨタマークになるらしい)
現時点で試乗は行っていないが、走ってもクラウンらしさがにじみ出ているのかも知れない……(セダンだけはFRという予想もある)。もっとも、だとしても、一気に若返りを果たし、世界にアピールすべく商品力を持った新時代のクラウンに変貌したことは間違いない。ロイヤルカスタマーがどう感じるかは分からないが、少なくともこれまでクラウンに関心のなかった幅広いユーザー(国内、国外を問わず)に大きくアピールすることは確かな16代目ではないか。