電子機器って熱に弱いんじゃないの? 最近のクルマが「コンピュータ」をエンジンルーム内に設置するワケ (2/2ページ)

高温な場所への設置を考慮して部品の耐熱温度も上げられた

 たとえば、1990年代のヤングタイマーのスポーツカーなどは、昨今、コンデンサから液漏れやハンダのクラックなどが原因で、ECUが故障するケースが増えてきている。平成初期の車室内搭載用のECUに使われていたコンデンサなどは耐熱温度が85度ぐらいのモノが多かったので、それが熱と湿気による経年劣化が進んだためのトラブルだ(夏場はとくに故障しやすくなる)。

 それがエンジンルーム内搭載に変わってきた2010年ぐらいからは、耐熱温度は105度~110度のコンデンサにバージョンアップ。2017年ぐらいになると、エンジンに直接搭載(エンジンブロックとの接点は105度前後)されるECUが普及しはじめ、125度ぐらいの耐熱温度に!

 今後はECUなどの電子部品をエンジンに統合していく機電一体化が主流になっていくはずなので、ECU関連のパーツの耐熱温度は、150度程度が要求されるはず。

 電子部品メーカーでも、そうした過酷な条件下でも問題なく使用できるよう、-40度~+150度までの温度変化を想定したり、長期間高温状態で動かし続けたり、水没テストや数百万回の振動テストを行ったり、非常に厳しい信頼性能試験を繰り返したものを、自動車メーカーに送り出している。自動車用の電子部品はエアコンをはじめ優秀なモノが揃っているが、ECUはとくに秀逸でつねに進歩し続けているパーツだ。

 余談だが、クルマのECUはエンジン制御用だけでなく、電動式パワーステアリング用、エアバッグ用、ハイブリッド車用など多様なECUがあり、多いクルマでは100個以上のECUが搭載されているのが現状。それらと区別するために、専門的にはエンジン制御用のECUのことを「ECM」(エンジンコントロールモジュール)と呼ぶ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
趣味
-
好きな有名人
-

新着情報