アイコンの「ヘッドライト」がなくても「911」の血統! ポルシェが生んだ怪物マシン「935」とは (2/2ページ)

ノングノーズ&ロングテールの935はモビーディックと呼ばれた

 600馬力近いパワーを発揮させることに成功した935には、さまざまな仕様が存在する。1976年に2台が製作されたワークスモデルの「935/76」は、排気量を2857ccとした水平対向6気筒ターボエンジンを搭載。これはレギュレーションによるターボ係数を乗じて4000ccの排気量に収まるようにという考えからで、実際に1.5バールの過給圧で560馬力を得ることに成功したとされる。

 翌1977年の935/77型では、エンジンが排気量はそのままにツインターボ化され、最高出力は630馬力に。また1425ccの水平対向6気筒シングルターボエンジンを搭載した935/2ベイビーの製作も行われた。

 1978年になるとさらにロングノーズ&ロングテールのスタイルを強めたニューモデル935/78が誕生。これが俗にモビー・ディックと呼ばれる名作だ。モビー・ディックとは白鯨の意で、そのスタイルを見れば、なるほどそう見えないこともない。

 搭載エンジンは3211ccにまで排気量を拡大した水平対向6気筒ツインターボ。最高出力は750馬力を達成したという。

 ポルシェは自身のワークス活動に加え、前で触れたクレーマーやヨースト・レーシングなどのプライベーターにも935を販売。彼らが残した戦績もまた、935にとっては貴重な歴史の一部となっている。レーシングカーとロードカーの間に常に共通した魅力を持たせること。その哲学は現在でももちろん変わってはいない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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