ハイブリッド車のメリット
ここまでハイブリッド車はなんぞやと説明してきましたが、ガソリン車と比べたときのメリットを挙げていきます。
その1:燃費が良い
先に説明したとおり、ガソリン車と比べハイブリッド車の燃費は優れています。
例えば、今年フルモデルチェンジしたホンダ・ステップワゴンを例に取ると、1.5Lターボエンジン車のWLTCモード燃費が13.9km/L(AIR FF)なのに対し、ハイブリッド仕様はWLTCモード燃費が20.0km/L(e:HEV AIR)。
リッターあたりで比較するとこのような差が生まれるほどハイブリッド車の燃費は優れています。
その2:静粛性
モーターのみで走行するEV走行時の静粛性もハイブリッドの大きな利点といえます。
とくに加速時や発進時のガソリン車が発するエンジン音と、モーターのみのEV走行をするハイブリッド車のノイズは、比べものにならないほどの差があります。
その3:各種減税が得られる
ハイブリッド車のメリットとして購入時に適用される減税措置も忘れてはいけません。
自動車税、自動車重量税、自動車所得税の税金が対象となり、モデルによっては自動車所得税と自動車重量税が全額免除。自動車税が75%軽減となります。
ハイブリッド車のデメリット
逆にハイブリッド車のデメリットも当然存在します。ガソリン車と比べたときのデメリットはどういうものがあるのでしょうか。
その1:購入価格が高くなる
同じ車種に設定されているガソリン車に対し、ハイブリッド車は必ず車両価格が高くなってしまうデメリットがあります。
先程、燃費で比較したステップワゴンで比べると、「AIR」ガソリンモデル(FF)の価格が299万8600円に対して、「e:HEV AIR」は338万2500円。
38万3900円の価格差があるわけですが、燃費の良さが決めてとなり購入した場合、ガソリン価格の高値が今後も続くにしてもハイブリッド車を購入した場合、少なくても8万km以上走行しないと得をしない計算となります。
その2:(車種によっては)居住空間が狭くなることも
ガソリン車と比べ駆動用バッテリーやモーターを搭載することになるハイブリッド車は、同じ車種で比較した場合、居住空間やラゲッジルームが犠牲となっている車種が多く見られます。
ただ、近年登場している車種は、当初からハイブリッド車の設定を踏まえて開発されているモデルも多く、ユーティリティ性能が著しく劣ることは少なくなってきました。
その3:高速走行時の燃費はガゾリン車と変わらない
先程お伝えしたように、駆動や発電にエンジンを積極的に使うハイブリッド車については高速走行時の燃費がガソリン車と比べ、勝っているとはいえません。
ロングドライブをメインとするユーザーの場合は、あえてガソリン車を選ぶという選択肢も悪くないでしょう。
ハイブリッド車を選ぶ際の注意点
一概にハイブリッド車といえども、メーカーや車種によりシステムが違うことは先ほどお伝えした通り。自分のライフスタイルに合わせたクルマ選びが重要になってきます。
例えば燃費重視でハイブリッドSUVを購入しようと考えた場合、スバルXVのハイブリッド仕様「e-BOXER」はWTLCモードが15.0km/L。ライバルのトヨタC-HRのハイブリッド仕様はXVと違い駆動方式がFFではありますがWLTCモード燃費が25.8km/L。燃費性能は大きく差がついています。
XVには水平対向エンジン独自の気持ち良いエンジンフィールや走行性能の高さを有していますが、燃費重視で選ぶ車種ではありません。
逆に、燃費はそこまで重視せず、ボクサーエンジンのフィールに加えモーターのアシストによる力強さや悪路走破性を期待するならC-HRより断然XVを選ぶべき。
このようにハイブリッド車といえども、クルマの購入時になにを重視するかで選択肢は大きく変わることは覚えておきましょう。
中古のハイブリッド車を選ぶ際の注意点
新車でハイブリッド車を購入するには予算がちょっと…と、中古車の購入を考えている方向けに注意点をお伝えしておきます。
まず先に述べたように、寿命が伸びている駆動用バッテリーについてですが交換の目安となる走行距離15万km、もしくは登録から10年に及んでいない場合でも前オーナーの使用頻度や運転の仕方で寿命は前後します。そのため、走行距離は5万km、登録から5年以内の中古車を選ぶほうが安心して所有できるでしょう。
また、先代フィットやヴェゼルのハイブリッド車はリコールが相次いで行われました。両車の購入を考えている場合はリコール対策済みかどうかの確認も重要になります。
ハイブリッド車はまだ進化を遂げている
初代プリウスの登場により普及していったハイブリッド車。現在は世界的にEVに注目が集まってきていますが、充電インフラや走行距離がネックとなり、国内での普及は進んでいません。一方でハイブリッド車は“いまや当たり前”ともいえる存在となり、また進化が止まりません。
ハイブリッド車の進化でいうと、黎明期から大きく進化したのが、駆動用バッテリーの性能向上と小型化が可能となったことにより、モーターのみで走行できるEV走行の比率が高くなったことでしょう。
ひと昔前までモーターはエンジンをアシストするものだったのが、エンジンで発電した電力を用いて高出力のモーターのみで走行する、というシステムが主流となりつつあります。