EVの台頭でハイパーカーはヤバイ領域に突入! もはや「2000馬力」「400km/h」が当たり前の時代だった (2/2ページ)

電動化によってハイパーカーは新時代へと突入

 そのピニンファリーナにEV技術を提供したリマックは、2009年に設立された新興EVハイパーカーメーカー。最初のモデルは2011年に誕生した「コンセプトワン」で、その後2018年にはポルシェからの出資を受け、現在ではポルシェから45%の出資を受けるとともに、ブガッティと合弁会社を設立。ブガッティ・リマック社として新たな時代を迎えることになった。

 もちろん彼らがこれまで開発を続けてきた150台の限定車、「ネヴェーラ」の生産計画に変わりはなく、将来的にはブガッティと共同で新型車を誕生させるという魅力的なプランも発表されている。もちろんポルシェの電動化計画にも、ブガッティ・リマックの存在は大きな影響を与えることは間違いないところだ。

 ネヴェーラにも、前で紹介したバッティスタと同様に、エアロダイナミクスを強く意識した2ドアボディが与えられている。アンダーボディフラップやデフューザー、リヤウイングなどは可変式で、走行状況に応じてドライバーはハイダウンフォースとロードラッグの両モードを選択することができる。ちなみに前者を選ぶとダウンフォースは326%増加するというから、その役割は重要だ。

 バッテリーの容量は120kWhで、搭載位置はもちろんフロア下の低い位置。このネヴェーラも4モーター方式を採用しており、最高出力は1914馬力、最大トルクは2360Nmをトータルで発揮する。0-96km/h加速は1.85秒、最高速は412km/hに達し、ドライバーは7タイプのドライビングモードから(そのうち2タイプはカスタムモードとなる)好みのモードを選ぶことができる。

 世界には、ほかにもEVハイパーカーを市場に送り込もうと、虎視眈々とその開発を進める新興メーカーが存在する。中国のNioなどはその例のひとつ。彼らが開発した「EP9」は、わずか20台のみの生産を計画したモデルだったが、4モーターでトータル1360馬力を発揮させ、あのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで、6分45秒9というラップタイムで、当時の公道走行可能なモデルによる記録を更新。世界最速のEVという称号を確かに自らのものにしたのだった。

 これからも魅力的な、というよりも驚愕のスペックを誇るEVハイパーカーは続々と誕生してくるだろう。スーパーカー、ハイパーカーの世界は今、確実に新しい時代を迎えつつあるのだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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