4代目となる現行型は1車種5モデルを展開
フィットハイブリッドはフィットe:HEVへ
4代目フィットには当然のようにハイブリッド仕様が用意されています。ただ、現行モデルはリコールを繰り返した7速DCT方式のi-DCTから、ハイブリッドシステムをe:HEVに変更し車名も「フィットe:HEV」となりました。
e:HEVは2モーター駆動式のハイブリッドシステムでバッテリーのみで走行するEVモード、エンジン発電によるHVモード、クラッチ直結によるエンジン駆動モードを有します。
基本的に1.5リッターエンジンで発電し、その電力でモーターが駆動するシリーズ式ハイブリッドなのですが、蓄電量が十分な場合はエンジンを停止しバッテリーからの電力のみで走行。高速巡航時などはエンジン出力で直接タイヤを駆動することで電力の変換ロスを抑える工夫もなされています。
このシステムは先にデビューした3代目インサイトにも搭載されていましたが、フィットのボディサイズに合わせモーターやジェネレーターを薄くすることなどでコンパクト化を実現。排気系のレイアウトも見直し、システムトータルで20%以上小型化しました。
またハイブリッドシステムの肝ともいえるIPUも容積を25%縮小。搭載されているラゲッジルームの使い勝手を向上させています。
e:HEVに搭載する1.5リッターエンジンはハイブリッド用ともいえる熱効率が高いユニット。遅閉じアトキンソンサイクルを使用することなどで最大熱効率は40.5%を達成しました。
4代目フィットも歴代モデル同様、センタータンクレイアウトを採用。全長は先代比40mm長くしたことでフィット自慢の広い室内空間を備えています。ただ、4代目の開発テーマは他車との数値競争から脱却し、数値だけにとらわれない快適空間を実現すること。
ドライビングポジションの最適化、リラックスできるリヤシート、日常使いに配慮した荷室などユーザーにとって心地よい空間とはどういうものかにこだわりテーマ通り快適空間に仕立てています。
そんなパッケージからデザインを構築していった4代目のスタイリングテーマは「柴犬」。フィット伝統のワンモーションフォルムを踏襲しつつ、柴犬のような心地よい存在になるべく生み出されたエクステリアデザインは親しみやすさを感じ、人によっては癒やしを感じさせるものとなりました。
また4代目に標準装備される先進運転支援システム「ホンダ・センシング」はシステムを全面刷新しています。
画角が約100度にまで広がった単眼カメラのみを使用して前方の状況を把握し、近距離の障害物検知は超音波センサーを使用。従来使用していたミリ波レーダーでは対応できなかったガラスや壁にも対応が可能となりました。
フィットハイブリッドのグレードの違いを解説
4代目フィットは「ベーシック」「ホーム」「ネス」「クロスター」「リュクス」の5グレードが用意されていますが、e:HEVはすべてのグレードで選択が可能です。
名称通りベーシックモデルとなる「ベーシック」ですがe:HEVは先進運転支援システム「ホンダ・センシング」やフルオートエアコン、フルLEDヘッドライトが標準装備(ガソリンモデルはオプション)となるなど実用性十分。車両価格は199万7600円から219万5600円。
売れ筋モデル「ホーム」は電子制御パーキングブレーキを備えるなど日常使いで利便性が高い装備をまんべんなく揃えるグレードです。車両価格は211万7500円から231万5500円。現在、「ホーム」をベースにした特別仕様車「e:HEV ホーム 20周年 特別仕様車 Casa」(226万7100円〜246万5100円)、「e:HEV ホーム 20周年 特別仕様車 Maison」(226万7100円〜246万5100円)が販売されています。
「ネス」はLEDフォグランプや2トーンカラーを選択できるスポーティ仕様。グレード名もフィットネスからつけられており、豊かなライフスタイルを求めるユーザーに最適なグレードとなります。車両価格は222万7500円から242万5500円。
標準仕様と比べ最低地上高を25mm高めるなどSUVテイストを取り入れた「クロスター」。他のグレードとは異なりフロントグリルを配置するなどシリーズ中、もっとも個性的な外観を備えました。車両価格は228万8000円から248万6000円。
シリーズ内で最も豪華な仕様が「リュクス」。ブラウン、ブラックの2色から選択可能な本革シートを備え、プラチナメッキの加飾を用いるなど内外装を高級感あるシックなテイストで仕立てられています。車両価格は242万6600円から259万1600円。
ホンダフィットのガソリンモデルとe:HEVとの違いとは
現行モデルとなる4代目フィットを購入するにあたり迷うのがe:HEVかガソリンモデルを選ぶかということ。そこで、ガソリンモデルとe:HEVの違いを見ていきましょう。
まずe:HEVが備えているのは圧倒的な静粛性。パワーユニットはもちろんのこと、ロードノイズの低さもe:HEVのほうが勝っているのが興味深いポイントです。
逆にガソリンモデルに備わっているのが軽快感。走る楽しさを求めるユーザーにはガソリンモデルをおすすめします。
またガソリンモデルのラゲッジルームはe:HEVと比べ床面は30mm低く使用勝手が勝っていることも違いといえるでしょう。ただ、床面が低いことで後席収納時に段差ができることが気になるユーザーも少なくないかもしれません。
両車でとくに大きく違うのが燃費性能。e:HEVのWLTCモードが23.2〜29.4km/L、ガソリンモデルが17.0〜20.4km/L。
ガソリン高が続く中、この差は大きいですが価格差も小さくありません。e:HEVの「ベーシック」が199万7600円(FF)なのに対して、ガソリンモデルの「ベーシック」は155万7600円(FF)。いくらガソリン高が続いているとはいえ、価格差が大きいため購入するならガソリンモデルかe:HEVかどちらにすべきか、難しい判断材料になりそうです。
まとめ
フィットハイブリッドやフィットe:HEVは、ユーティリティ性能を重視したフィットの実用性を損なわずに開発されたハイブリッド車であることが大きな特徴です。
燃費性能はもちろん、高い実用性や広い居住空間を備えたコンパクトカーを求める場合は選択肢の第一候補になることは間違いありません。