この記事をまとめると
■オーテックジャパンよりリリースされていた「ライダー」シリーズの販売が終了
■同シリーズの初代は1998年のキューブライダーだった
■2018年にブランド戦略を変更したのが大きな転換期となった
若者に大人気だったライダーシリーズが終売
「ライダー」シリーズといえば、日産車をベースにカスタマイズを行うオーテックの主要商品ですが、今年、7月7日の新型「キャラバン AUTECH」の発売に伴って、全シリーズが生産終了となりました。 そこで、ここでは同シリーズの歩みについて、デザイン面を中心に振り返ってみたいと思います。
エルグランドで確立したメッキグリル
1986年に設立した株式会社オーテックジャパン(現日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社)は、福祉車両や商用特装車も手掛ける幅広い業務を特徴としましたが、商品としてはカスタムカーが先行するかたちでスタートしました。
R31~32型「スカイライン」や初代「セフィーロ」、初代「プリメーラ」のオーテックバージョンなどはいまでも中古車市場で高い人気を保っていますし、5代目「シルビア」のコンバーチブルや、イタリアのザガートと協業した「ステルビオ」といった超個性的なスポーティカーも話題となりました。
そうしたなか、最初の「ライダー」シリーズとなったのが1998年発売の「キューブ ライダー」です。ベースとなった初代キューブはもともとヤンチャなイメージを持っていましたが、大きな穴を開けたフロントグリルによる「ちょい悪」なカスタマイズは、他とは違う個性を求めていたユーザーの心をつかみ、上々のスタートを切ったのです。
同年の「アベニール ライダー」も基本はキューブに準じた表現ですが、以降のシリーズのイメージを決定付けたのは、やはり第3弾の「エルグランド ライダー」でしょう。元来、アメリカンなミニバンを標榜していたエルグランドに、文字通りアメリカンな横桟タイプのメッキグリルはドンピシャで、ヒットは必然。その後のライダーの方向性を確立したのです。
同時に、ユーザーにとっては「メーカー公認のカスタマイズ」という選択肢が増えたことになります。本来「改造」はアフターパーツ市場が受け持っていたわけで、それをメーカー自身が行うのは本末転倒とも言えますが、ある種の安心感をもって「カスタマイズ感」を楽しむことは、より多くのユーザーの関心を集めたのです。
その後はこのメッキグリルを前面に出し、「セレナ」や「エクストレイル」「プリメーラワゴン」など、ミニバンやSUVなどを中心に商品展開が行われますが、2005年以降は「ノート」や「オッティ」「デイズ」などのコンパクトカーや軽自動車にも用意され、より身近な存在となりました。
なかでも、デザイン的な視点では2003年の2代目「キューブ ライダー」は秀逸でした。とくに横桟のメッキグリルとフロントランプのマッチングがよく、非常にまとまりのいい仕上がりで、オーテック自身も「新世代ライダー」と銘打っていたほどです。