この記事をまとめると
■クルマの進化の過程で「大きくなったもの」「小さくなったもの」をピックアップ
■ホイールやナビ画面など、見栄えと使い勝手を考慮すると大きくなる物のほうが多い
■低燃費化によって小さくすることが可能になった物も存在する
クルマの進化で大きくなった物と小さくなった物をピックアップ
1769年に蒸気で走る自動車が発明されたのが、自動車史のはじまりです。
日本はまだ江戸時代。その後、1873年に電気自動車が誕生し、ガソリン車の誕生は1886年です。そこから長らくガソリン車の時代が続くわけですが、初期のころと比べるとカタチもタイヤも性能も、月とスッポンくらいに変わっています。
少し話を現代に早送りして、日本にようやくマイカーブームが起こった1970年代と、2020年代の最新のクルマを比べてみても、その進化には目をみはるばかり。ただ、細かくみていくと、進化によって大きくなったものと、逆に小さくなったものに分かれることに気づきます。今回はそんな、クルマの進化でなにが大きくなり、なにが小さくなったのか、考えてみたいと思います。
まず大きくなったものひとつ目は、ボディサイズですね。
先日、新型がお披露目されたばかりのトヨタ・クラウンで見てみると、1970年代のMS51型は全長4585mm、全幅1690mm、全高1420mmでしたが、新型はまだクロスオーバーしか発表されていないのでわからないものの、15代目のセダンで比較すると、全長4910mm、全幅1800mm、全高1455mmです。
とくに全長と全幅がかなり大きくなっていることがわかります。これは衝突安全性の向上や、国内外でのプラットフォーム共用化、基本の走行性能アップや室内スペースの拡大など、さまざまな理由が挙げられます。いいクルマ、安全なクルマ、快適なクルマをなるべくコストを削って作るために、少しずつボディサイズが大きくなってきたのですが、それに対して日本の道路は、実に約84%が幅員平均3.8mの狭い市町村道。これが改善されないままにボディサイズだけが大きくなったことで、運転しにくい、車庫に入らないなど、いろんなデメリットが生まれていることも事実です。
大きくなったものふたつ目は、タイヤ&ホイール。
これも先ほどのクラウンを例にして見てみると、1970年代のクラウンはタイヤ外径が646mm、ホイールサイズが14インチでしたが、15代目のセダンは外径660mm、18インチです。これは、ボディサイズアップなどに伴う車両重量の増加、出力、トルクの増加、最高速のアップ、制動距離の確保などさまざまな理由が挙げられます。また、昔から「大きいタイヤ=かっこいい」というイメージがあり、それが近年はより顕著になっている影響も小さくないと思われます。
大きくなったもの3つ目は、ナビ画面。
世界で初めてカーナビを搭載したのは1981年に販売されたホンダ・アコードとビガーでしたが、当時はまだGPSが軍事目的にのみ使用されていたことなどから、ブラウン管に地図をセットした「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」というものでした。
1987年にトヨタ・クラウンが「エレクトロマルチビジョン」、1989年にニッサン・シーマが「マルチAVシステム」を搭載するなどの進化を遂げ、いよいよGPSを導入したカーナビの時代へ。1990年にユーノス・コスモに搭載されたほか、バイオニアがカロッツェリアの市販型カーナビを発売しています。しかし、どちらも画面はとても小さく、初期のスマホより小さいのではないでしょうか。それでも価格は本体のみで35万円ほど、システム全体を組むと50〜70万円にもなったという高価なものでした。
そこからほどなくしてナビ全盛時代が到来し、いくつものメーカーが切磋琢磨した結果、ナビ画面も7インチ、8インチ、9インチとだんだん大きくなり、今や10インチくらいじゃ誰も驚かない時代になりました。タブレットのような縦型ディスプレイも増え、テスラ・モデルSは17インチ。日本に導入されていないメーカーでは、なんと48インチを搭載するクルマもあるようです。自宅のテレビもかくやの大きさで、びっくりですね。