選挙カーのお手振り! タバコ! 自撮り棒! クルマの窓から「何かを出す」のは違反じゃない? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■クルマの窓から手や物などを出す行為は違反にあたることがある

■違反でなくても、安全運転の妨げになることも

■5つの具体例を挙げ、詳しく解説する

窓から手を出す行為は違反とみなされる可能性がある

 ドライブをしていて目の前にきれいな海が広がった瞬間に、思わず窓を開けて手を外にのばしたり、大切な人と別れる際に窓から乗り出していつまでも手を振ったり。助手席に座ったワンちゃんが、顔を出して気持ちよさそうにしている光景も、クルマならではのエモーショナルな瞬間だったりしますよね。

 でも、ちょっと待ってください。もしかしたらそれは、道路交通法違反に当てはまってしまうかもしれません。

 まず、窓から手を振ったり腕をのばしたりする行為ですが、その昔、クルマの方向指示器(ウインカー)は手動で、ついていない車両もあり、その場合には手で周囲のクルマなどに合図を出して走行していた時代がありました。昔のトラックなどは、他車から方向指示器が見えにくいこともあったため、方向指示器がついていても、安全確認のために助手席の人が手信号を出して運行することも多かったといいます。そのため、窓から手や腕を出すことそのものは、違反ではありません。ただ、第53条にこうあります。「車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。」

 ということは、窓から手が出ている場合に、他車のドライバーが「合図をしているのだ」と誤解する可能性があるということになります。また、安全運転の義務を定める第70条には「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」とあります。そのため、もし出した手の動きによって、後続車などに「あのクルマは右折をするんだな」と誤解させ、それによって交通の混乱や他人への危害が及ぶようなことがあれば、違反と見なされる可能性があるということになります。

 ただし例外もあり、「窓から手を振る」光景をよく見るクルマと言えば、選挙カー。手を振るだけにとどまらず、候補者がシートベルトもせずに身を乗り出して沿道にアピールしている姿を見たことがある人も多いでしょう。これはまず、シートベルト着用に関しては、通常は道路交通法第71条の3ですべての乗員に着用が義務付けられているのですが、道路交通法施行令の第26条の3 第2項にて「公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者又は選挙運動に従事する者を同法第141条の規定により選挙運動のために使用される自動車の運転者席以外の乗車装置に当該選挙運動のため乗車させるとき。」とあり、選挙運動中の選挙カーではシートベルト着用が免除されるということになります。とはいえ、いくらシートベルトをしなくてもいいからといって、身を乗り出して手を振る、いわゆる箱乗りについては、状況によって多少は管轄の警察の判断に委ねられるところはあるものの、おおむね「危険行為とみなし、取り締まりの対象となる」ところが多いようです。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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