オークションにて自動車として史上最高額で落札
ウーレンハートを中心に、まず2台のプロトタイプが製作された300SLR。流麗なクーペボディを持つこのプロトタイプは実戦に投入されることはなく、おもに開発用に使用されたが、その過程でドライバーからは視界の悪さのほかに熱や振動の問題が指摘され、実戦に投入されたモデルはオープン仕様で製作されることになった。
この300SLRプロトタイプ、すなわちウーレンハート・クーペがオークションに出品されるという第一報がRMサザビーズからリリースされたときの驚きは、今でも忘れることができない。2台の同モデルは、いずれもメルセデス・ベンツ・ミュージアムで大切に保管されている、まさに歴史的遺産ともいうべきモデル。
それをシュツットガルドにある、そのミュージアムを舞台とした完全招待客制のオークションで売却してしまうとは。落札者には必要とするイベントの際にはそれを貸し出すことという条件が課されたとはいえ、あまりにも大きな衝撃だった。ちなみにそれ以前に、オークションで落札された自動車の最高価格は、やはりRMサザビーズが2018年のペブルビーチ・オークションで売却した、フェラーリ250GTOの4800万ドル。その落札価格を超えることは間違いないと思われた。
ウーレンハート・クーペのオークション出品も衝撃的なニュースだったが、落札価格はさらに世界中を一瞬で駆け巡る大きな話題となった。その額は実に1億3500万ユーロ。邦貨に換算すると約182億円という数字だった。
ちなみにもう一台のモデルは、これからもミュージアムでその姿をゲストに披露し続ける予定であるという。