2.4リッターの排気量は結果的に大きな武器となった
しかし、岡山国際サーキットではGR86ユーザーたちが第1ヒートから好タイムを連発。その結果、前述のとおり、西野がシーズン初優勝を獲得したほか、奥井優介が3位、山口京之が4位、松本敏が5位、天満清が6位とトップ6に5台が食い込むなど、まさにトヨタGR86が猛威を発揮していたのだが、なぜ、トヨタの新型FRスポーツが大きな飛躍を遂げることができたのか?
その最大の理由は、やはりトヨタGR86のエンジンパワーにあるだろう。第6戦の舞台となった岡山国際サーキットはシケインおよびショートカットを使用したコンパクトなレイアウトが採用されたほか、最終コーナーの立ち上がり後にはパイロンでスラロームやターンが設けられはしたものの、計3カ所で4速を使用するなど、シリーズ屈指のハイスピードラウンドとして開催されていた。当然、エンジンパワーが重要な1戦で、自然吸気とはいえ、2400ccのエンジンを搭載したトヨタGR86が1400cc+ターボのアバルト124スパイダーを凌駕していたのである。
「ここで勝たないとまずいでしょう」とGR86を武器に優勝した西野が語れば、アバルト124スパイダーを武器に2位に惜敗した若林は「240馬力のGR86に対して124スパイダーは170馬力です。岡山で70馬力の差を埋めるのは難しい」と語っている。
加えてトヨタGR86ユーザーたちは序盤戦でセッティングに苦戦を強いられていたが、徐々にマシンが熟成したことも岡山ラウンドの勝因と言っていい。
結局、開幕5連勝を果たした若林が2位に入賞したことにより、2戦を残して若林がJG7クラスのタイトルを獲得したが、西野の勝利によりGR86勢も一矢報いることに成功した。西野のほか、奥井、松本、天満などトヨタGR86ユーザーたちは抜群の速さを持つだけに、今後も新型FRスポーツの全日本ジムカーナ選手権での活躍に注目したい。
なお、ルノー・アルピーヌA110Sやポルシェ911GT3Rなどのスーパーカーの参戦で注目を集める2ペダル車両クラス、JG10クラスではアルピーヌA110Sを駆る山野哲也が今季5勝目を獲得。こちらも2戦を残してJG10クラスのチャンピオンに輝き、自身22回目の全日本タイトルを獲得している。