アメリカのクルマ文化を垣間見ることもできる作品
また、同僚のハーベイ刑事は1972年型フォード・ランチェロ(乗用車をそのままピックアップにしたようなクルマ)に乗っていた。一般的にこの手のモデルを劇中に登場させる時には、シボレー・エルカミーノがよく選ばれるのだが、バラクーダとともに、ランチェロが採用されているところに、ナッシュ ブリッジスというドラマのクルマへのこだわりを強く感じた(筆者のまわりのアメリカ車ファンも注目していた)。
ナッシュ ブリッジスの娘のクルマが最初はフォルクスワーゲン・ビートルのカブリオレで、その後フォルクスワーゲン・ラビット(ゴルフI)のカブリオレに乗り換えるといった、アメリカ女子の“定番クルマ(当時/その後ニュービートルやザ ビートルになっていった)”が選ばれるなど、とにかく劇中車のセレクトに対するこだわりというものを強く感じた。
そして“ナッシュブリッジス2021”でも、ともに70代となったナッシュ ブリッジスとジョー ドミンゲスが警察官として復帰し、バラクーダに乗って捜査するのだが、ストーリーを確認していないのだが、現行ダッヂ・チャレンジャーのコンバーチブルにも乗っている。しかし、カタログ上は現行チャレンジャーにはオープンモデルは存在していないのでカスタムメイドモデルのようである。
バラクーダとチャレンジャーにふたりが乗っている様子と比較すると、チャレンジャー自体も相当ボディサイズが大きいのに、バラクーダと比較すると結構小さく見えてしまう。いまとなっては、当時のバラクーダのようなアメリカ車がそのままのスペックでリバイバルすることなどは期待できないが、改めて当時のアメリカ車の存在感の大きさと、アメリカという国がいま以上におおらかな存在だったことをまざまざと感じさせてくれた。
なお、日本の刑事ドラマでここまでクルマへのこだわりを感じたのは、少々ナッシュブリッジスとは趣は異なるが“西部警察”以降巡り合ったことがない(刑事ドラマの枠を超えれば“映画アウトレイジシリーズ”もなかなかこだわりがあった)。