ランクルには安心してロングランできる性能が必須だ
気になるのはそのトルクをじんわり出せるかどうかだが、e-POWERを含めた日産の電動化車両を雪道などでドライブしたことがある人なら、電子制御のおかげでそれが実現できることを知っているだろう。
ではなぜ、日本のオフローダーの雄であるトヨタ・ランドクルーザー(ランクル)は、2021年に発表された現行型300系でも電動化とは無縁なのか。理由はこのクルマの設計思想にある、「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」というメッセージに込められている。
つまり、ラングラーとランクルとでは、走るフィールドが違う。ラングラーは伝統的に、ロックセクションなどを踏破していく瞬発力が求められるのに対し、ランクルには荒野を縦断し目的地に辿り着く持久力が求められる。
しかも、現在のラングラーはレジャービークルとしての色が濃いのに対し、ランクルは未開の地に踏み入れるためのツールであり、安心してロングランを敢行できる内燃機関のほうが信頼できる。ラングラーならOKのEVが、ランクルには不向きであることは、この説明で理解してもらえるだろう。
ただランクルと似たような使命を持って生まれながら、行動範囲が狭く、軽自動車ゆえエンジンでのトルクアップに限界があるスズキ・ジムニーは、EVもアリだと思っている。