細かいところに「お国柄」が出る
日本車はエアコンの負荷を最小限にするため細かい制御ができたからなのか、以前日本車の某コンパクトセダンで地元の人と移動している時に「日本車のエアコンは利きが悪い」といわれたことがある。アメリカンブランド車では同じブランドのフルサイズモデル用のエアコンを、コンパクトモデルにもそのまま流用しているので、“マックスクールにして運転していると、空気吹き出し口から白い冷気が出てきて驚いた”といった話も聞いたことがある
自動車というと世界共通の機械製品のようにも思えるが、意外なほど細かいところに“お国柄”というものが出ているものなのである。そのお国柄を仕向け地によって作り分けることができるので、日本車は優秀ともいわれているのである。よく“日本国内で販売されている同一車がアメリカでは日本より安く販売されている”という話を聞く。為替相場の関係で円換算して割安に感じることもあるようだが、たとえば日本仕様ではAピラーの内張りに布を張っているが、アメリカ仕様では樹脂をむき出しにしているなど、細かい部品で“差”をつけていることも多い(日本仕様のほうがコストがかかっていることも多い)。
「日本のお客様ほど、装備や質感での要求頻度が高くない」とは以前あるメーカーの開発者から聞いた言葉である。ただし、「欧米や日本メーカーの多くが現地で車両生産している中国では、日本国内で生産する日本車では使うことができない(高い)欧州部品メーカー製の部品でも、中国で生産している同じパーツならば安く調達することができるので(生産数が日系部品メーカーより多いなど量産効果も大きいようだ)、日本車に採用することがあるそうです。ある意味中国製のほうが“ぜいたく”というか、“グレード”の高い部品を使うこともできると聞いたことがあります」という事情通の話もあるので、見た目では日本製造モデルより劣っていても、単純に“安かろう悪かろう”というわけでもないようである。