この記事をまとめると
■国土交通省が車検シールの貼り付け位置の変更を発表
■ルームミラーの後ろ側から、運転席から見て右上端に移動することとなる
■変更の意図のついて解説する
「うっかり失効」を防ぐのが目的!
国土交通省は6月22日に、自動車のフロントガラスに貼り付ける検査標章、いわゆる車検シールの標準位置をルームミラーの後ろ側から、運転席から見て右上端へ移動させると発表した。
検査標章は、自動車検査証の有効期間が満了する時期を示すもので、現状ではクルマの前面ガラスの内側に前方から見やすいように貼り付けて、表示するように定められている。
細かくいえば、ルームミラーを有するクルマはその前方の前面ガラスの上部に、その他のクルマは運転者席からもっとも遠い前面ガラスの上部に貼りつけることが指示されている。
ではなぜ検査標章の貼り付け位置を変更するのか?
「シール記載の有効期限に所有者が気付きやすくし、うっかり失効(車検切れ)を防ぐのが目的」というのが国土交通省の見解だ。
ちなみに、国土交通省が平成30年~31年に全国で行なった調査によると、国内で車検切れのまま走っている自動車(車検切れ運行率)は、0.11%とのこと。
なお車検の有効期限が切れたまま公道を走った場合、違反点数6点(前歴がない場合)、道路運送車両法により6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる。
また、車検が切れたクルマは、自賠責保険の有効期限も切れているケースが多く、そうしたクルマで公道を走ると、違反点数12点(前歴がない場合)、1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金と、かなり重罪扱いとなる。
さらに車検をきちんと受けていたとしても、検車標章=車検証シールをクルマに貼らないで公道を走行させた場合は、道路運送車両法第109条8項により、50万円以下の罰金が科せられるので、車検に関する制度はかなり厳しいと覚えておいた方がいい。
というわけで、国土交通省としてはそうした無車検車を一台でも減らすために、2023年1月から検査標章の貼り付け位置を変更し、有効期限を見落とさないようにことを目指していくらしい。
このデジタル時代に、シールの位置の変更でどれだけ効果があるかは疑問だが、合わせて車検切れ運行車両の取り締まりが強化されることは、想像に難くない……。