「RS」ではなく「R.S.」と表記されるモデルとは?
次に、長年ワンメイクレースを続けているヴィッツRSや、ラリーのイメージが色濃いGRヤリスRSなど、トヨタ車に付けられているRSは、Runabout Sports(ランナバウト・スポーツ)の頭文字。このRunaboutはクルマのボディ形状を表していて、小型スポーツカーを意味しています。キビキビとスポーティに走れるモデルというイメージが込められており、このRunaboutという言葉はMR2やMR-Sの車名にもミッドシップ・ランナバウトとして使われています。
そして、RSをロード・スポーツの頭文字としているメーカーが、スズキとスバル。スズキにはスイフトRSがあり、スイフトスポーツがモータースポーツシーンを想起させるハイパフォーマンスモデルであるのに対して、スイフトRSは走行性能に関しては通常モデルと変わらず、外装がちょっとだけスポーティな味付けとなっているようなイメージです。でも、もともとスイフトは欧州での走り込みを丹念に行って開発しているので、通常モデルでも走りの楽しさはお墨付き。コスパもいいと高評価です。
さて、RSではなく、「R.S.」と表記されるモデルを伝統的に用意してきたルノーでは、ルノー・スポールの頭文字となっています。ルノー・スポールとは、1976年に設立された、ルノーのモータースポーツを一手に引き受ける部門です。ル・マンで勝利し、すぐにF1参戦を開始。F1で初めてターボエンジンを採用したのがルノーで、最初の数年間は苦戦しましたが、1979年に初勝利。ラリーやパリダカでも勝利を飾ったルノーですが、2000年代のフェルナンド・アロンソとともに築いたF1黄金時代は、印象に残っている人も多いと思います。こうしたF1をはじめとするモータースポーツで培った技術をフィードバックして作られているのが、メガーヌR.S.、ルーテシアR.S.、トゥインゴR.S.といったモデルたち。R.S.トロフィーという、かなりタフなスポーツ性能を与えられているモデルもあります。ただ、2021年5月にルノー・スポールはアルピーヌに統合され、新たなスタートを切っており、R.S.と名がつくモデルは現行型が最後になりそうです。
ということで、メーカーによって異なる背景、思想、目標などが反映されている「RS」。その意味を知って乗ると、さらに楽しさや愛着が増すかもしれませんね。