フェラーリやランボに負けないための武器がターボだった! ポルシェの野心が生んだ930ターボとは (2/2ページ)

前後フェンダーとリヤウイングが迫力のエクステリア

 ポルシェの社内型式では930/50型と呼ばれるこのエンジンは、もちろんターボの装着のみならず、圧縮比やバルブタイミングの見直しなど、その構成部品の多くはターボのための専用となっている。組み合わされるミッションは4速MTが唯一の設定だが、当時ポルシェはこれだけのパワーがあれば4速MTでも十分な加速性能が得られるはずだと説明していた。参考までに3リッター水平対向6気筒ターボエンジンの最高出力発生回転数は5500rpm。最高速は250km/hと発表されていた。

 正確な車名は、搭載エンジンの型式から930ターボと呼ばれることも多いが、ポルシェとしてはそれはあくまでも930型911ターボとするのが正しい表記となるようだ。その後、1978年にはNAモデルもすべて930型とされるが、930ターボという呼び方もまた、それに特別な感情を抱かせるためには重要なスパイスといえるのかもしれない。

 その930型911ターボは、外観でも当時のNA版911とは大きく変わるアピアランスを採用していた。とりわけ印象的なのは、タイヤサイズの拡大に伴う前後フェンダーのワイド化。930型911ターボではRS3.0からトレッド幅も拡大されているので、それは機能を合法的にオンロードで実現するための策だったのだ。

 実際に見るフェンダーまわりのデザインは、これもターボ専用の(生産途中でデザインは変更されるが)大型リヤウイングとともに、おどろおどろしい感覚さえ抱かせる独特なものだ。

 1977年、930型911ターボは3.3リッターに排気量アップし、最高出力も300馬力に、そして最高速は260km/hを主張することになった。

 ターボというひとつの技術によって、ポルシェは見事にスーパースポーツの世界における頂点を極める体制を固めたのである。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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