この記事をまとめると
■フォード創立100周年のアニバーサリーイヤーに誕生した新世代フォードGT
■本当はGT40を名乗りたかったが商標権を獲得できずに「GT」の車名で発売された
■2016年には第2世代モデルが登場し、レースでも活躍している
フェラーリと激戦を繰り広げたフォードのレジェンドの現代版
1960年代にル・マン24時間レースを始めとするレースシーンでフェラーリ勢と熾烈な戦いを繰り広げたフォードGT(後にそれはGT40の通称で呼ばれることになる)。そのGTを復活させようという動きが、フォードで立ち上がったのは1990年代を迎えてからのことだ。
始まりは1995年のデトロイトショーで初公開された「フォードGT90」で、かつてのGT40は車高がわずかに40インチほどしかなかったことからそう呼ばれたモデルだったが、GT90はそのGT40の1990年代における後継車であることを意味する車名だった。
当時、フォードがこのGT90に与えたキャッチフレーズは「世界最強のスーパーカー」。確かにそのスタイリングは、1960年代のGT40とはほとんど関連性を持たない現代的なものであったが、ミッドに搭載されたパワーユニットは、6リッター仕様のV型12気筒DOHC48バルブ+4ターボという過激なもの。最高出力は720馬力を誇示していた。世界最強という言葉も、当時はあながちオーバーな表現ではなかったのである。
しかしながら、このGT90プロジェクトはそのまま生産化に移行することなく、遠い記憶のなかに残るのみの存在となってしまう。フォードが再び過去のGT40のコンセプトを継承した、というよりもリメイクともいうべきスタイルを持つ新型「GT」を発表したのは、それから10年後の2005年。それは、フォードの創立100周年に相当するアニバーサリーイヤーのことだった。
フォードから発表されたアメリカ市場での販売台数は、2005年と2006年の各々でわずかに1500台。実際には、グローバルではトータルで4000台強が生産されるに至っている。初代フォードGT(GT40)の人気を考えれば、それでも激しい争奪戦が予想される数だったに違いない。
フォードはもちろんこの新型GTに、慣れ親しんだ「GT40」の車名を与えたかったのだが、オハイオ州に本社を置く某社との間でその商標の使用に関する問題が発生。結局フォードの交渉は決裂し、車名は「GT」とされた。