怖い顔は若者に大人気だった
●ストリート系は夜遊びがお好き?
次は、1999年発表のコンセプトカー、ホンダ「不夜城」です。「Fun & Future」から着想した「F・ムーバー」として提案された同車は「スケボー感覚の軽やかなノリ」として、まさにスケートボードフォルムのハイト&ショート4シーター。
フロントガラスを含めてセンターラインが引かれた縦長の顔は、もはやクルマの概念を越えた怪しさに溢れますし、バンパーと一体になった幅広のグリルとランプ類は実にヤンチャな表情です。
ホンダとしては、若年層を中心に新しいクルマの可能性を探っていた時期と言えますが、見た瞬間に怪訝さを感じてしまう「最怖」な顔ではあります。
●ワルを前面に出したクルマ型音楽再生機
4台目は、2005年登場の2代目トヨタ「bB」です。初代もなかなか刺激的なデザインでしたが、カスタマイジングのベースを意識して、比較的シンプルな「箱」を感じさせるスタイリングでした。
それに対し「クルマ型Music Player」をコンセプトとした2代目は、派手さを直接前面に打ち出す方向に。フロントは、ツリ目やU字を描くラインなど「うねり」を多用し、横幅いっぱいに広がったアンダーグリルとともに「ワル」な雰囲気を醸し出しました。
紫や蛍光イエローのボディカラーも「最怖」の顔を支えていましたが、ヒットが長く続かなかったのは、飽きっぽい若者の心が離れたからなのでしょうか?
●触ったら切れそうな?先鋭的フェイス
最後は、2008年に登場したファミリー向けミニバンのマツダ「ビアンテ」です。ボンゴフレンディの生産が終了した後、日産のセレナなど5ナンバーミニバンがヒットするなかで急遽企画、まったく新しいモデルとして登場しました。
Zoom-Zoomを掲げた中、コンセプトカー「Nagare(流れ)」の造形を取り入れたスタイルは、シャープなフロントランプがそのまま三角窓につながり、さらにベルトラインへ続くという斬新な表現に。そのランプと逆ペンタゴン形のグリル、左右のエアインテークとすべてが尖っていてじつに「最怖」な顔に。
「ミニバンでいちばんスタイリッシュに」という気持ちが少々行き過ぎてしまったのか、当時新しいデザインコンセプトを大々的にアピールしていたマツダらしいところではあります。
さて、以上「最怖」の5台はいかがでしたか? こうして振り返ってみると、メッキのグリルがなくても厳つく怖い顔はあるものです。それどころか、現在のオラオラ系デザインがおとなしく見えてくるのが不思議です。