この記事をまとめると
■この夏「電力需給ひっ迫注意報」が何度も出ている
■その際、EVの使用は基本的に問題ない
■またEVが増えると電力不足が加速するという考えは間違っている
必要最低限の急速充電の利用は問題ない
猛暑のため電力需給が危機的状況という報道が出ている。電力自由化の悪影響なのか、各地で大規模停電が起きるなど電力供給の安定さが失われている印象もある。すでに東京電力管内においては「電力需給ひっ迫注意報」が何度も出ており、この夏に電力危機となる可能性は高い。
こうした状況において電気自動車(EV)の使用はふさわしくない、という声も出てきている。はたして、EVの使用は控えるべきなのだろうか。
結論からいえば、すでに充電している電力による使用については問題ないが、充電のタイミングには配慮したいといったところになるだろう。ただし、昼間の充電を禁止するほどの必要はないといえる。
なぜなら、日本におけるEVの普及を考えると全体への影響はほとんどないといえるからだ。
EV補助金で知られる次世代自動車振興センターの発表によると、2020年度末の段階で、日本におけるEV保有台数は13万109台となっている。それから増えているとしても、15万台前後でしかないだろう。
参考:http://www.cev-pc.or.jp/tokei/hanbai.html
実際問題、15万台のEVが同時に急速充電をするとは思えない。そもそも急速充電器は8000基弱しかないので、仮に全部の充電器が埋まったとしても同時に充電できるのは8000台弱となる。
急速充電器の平均出力を50kWとして計算すると同時に利用した際の消費電力はおおよそ40万kWとなる。一方、日本全体での消費電力は1.5億kWといわれている。誤差程度の影響しかないのは明らかだ。
参考:https://www.ene100.jp/www/wp-content/uploads/zumen/1-2-10.jpg
特定のエリアにおいてギリギリの状況においては急速充電の利用は避けるべきだが、電欠寸前で緊急事態となっているEVが急速充電を利用するくらいでは影響はないといえる。
もちろん、それは昼間の電力需給ひっ迫状況において急速充電を利用してもいいという意味ではない。EVオーナーとしては、基本的には夜間の普通充電を利用しておいて、どうしても仕方がないという状況においてのみ急速充電を使うというスタンスでいるべきだろう。
また、プラグインハイブリッド車など化石燃料で走ることができるクルマであれば、燃料を補給すれば走行できるわけで、わざわざ昼間の電力需給が厳しいタイミングで急速充電を使うのは避けたいところだ。