柔らかいタイヤは熱に弱く固いタイヤはグリップが低くなる
ちなみにゴムの沸点はおよそ120℃。タイヤを作る際には、天然ゴム以外に、合成ゴム、シリカ、カーボン等々の、さまざまな添加剤を配合して、高温(低温にも)になっても性能を発揮出来るよう工夫されているが、それでも熱が入りすぎると性能低下は避けられない。こうした熱の影響によるタイヤの性能劣化のことをサーマルデグラデーションという。
また、高いグリップを得ようとして、柔らかいゴム(コンパウンド)を使うと、温まりがいい代わりに、熱によるタイヤのタレ(サーマルデグラデーション)も早いし、摩耗も早くなる。摩耗が進むとタイヤの性能もダウンするので、これもタイヤのタレに輪をかける。
反対に、固いゴムを使ったタイヤだと、耐摩耗性もよく、熱にも強いかもしれないが、その分「喰わない」、つまりグリップ力の低いタイヤになってしまうので、旨味は少ない。
レースの世界では、ライバルよりソフトなタイヤを履いて、ハイペースで走り、なおかつそのタイヤを長持ちさせることができるタイヤマネージメントの上手なドライバーほど”強い”ドライバーで、車体側もタイヤへ依存度が低く、タイヤのタレが少ないのがいいマシン、いいセッティングの条件になる。