この記事をまとめると
■エンジンを乗員後方に置いて後輪を駆動するのがリヤミッドシップ(MR)という駆動方式
■かつて日本車にもMRレイアウトを採用したクルマが複数台あった
■居住空間は狭いが楽しさは別格だ
トヨタから始まった日本のミッドシップスポーツの歴史
クルマを構成する部品のなかでも、もっとも重量があるエンジンをシートの後方にレイアウトしたミッドシップは、クルマの運動性能を高めてくれるという大きなメリットを持つ。
その一方でエンジンが車両の中心部に存在するために居住性が犠牲になることが多いため、市販車での採用例が少ないというのもまたミッドシップ車の特徴も言えるだろう。
そんな孤高のレイアウトであるミッドシップだが、日本の自動車メーカーの市販普通車として初めて採用したのが1984年に登場したMR2だった。
初代MR2はミッドシップという特異なレイアウトを採用しながらもコストを抑えて量産性を高めるため、前輪駆動レイアウトとなった5代目カローラのエンジンやトランスミッション、足まわりなどが流用されており、カローラのフロントセクションがそのままMR2のリヤに搭載されているといっても過言ではないものだったのだ。
MR2は1989年に2代目へとフルモデルチェンジを果たすが、翌年に登場したのが日本初のスーパーカーとも言われるホンダNSXである。
バブル景気が絶頂期であったタイミングで発表されたNSXは、ミッドシップレイアウトだけでなくオールアルミモノコックボディを採用したことでも話題を集め、バブルが弾けたあとも改良を繰り返しながら2005年まで生産が続けられた名車となった。
その一方で、安価で購入できるミッドシップマシンとして1991年にはホンダ ビートが、翌92年にはオートザムAZ-1とそのOEMモデルであるスズキ・キャラが登場。ビートはオープン2シーター、AZ-1はガルウィングと軽自動車らしからぬ特徴を備えていたことも記憶に新しいところだろう。