この記事をまとめると
■いま国際情勢の変化などにより、極端な円安となっている
■円安とはドルとの交換レートにおいて多くの円が必要になることだ
■自動車業界が受ける影響について解説する
日本最大の輸出産業は自動車
通貨の交換レートである為替が大きく動いている。とくにドルと円の関係でいえば、6月中に1ドル137円になるなど24年ぶりの円安となっていることが話題だ。
あらためて説明する必要もないが、円安というのは円の価値が相対的に下がることで、すなわちドルとの交換レートにおいて多くの円が必要になるということだ。1ドル140円のレートは円安であり、1ドル90円であれば円高ということになる。
これだけの円安に動いているのは本当に久しぶりだ。大まかな為替相場の動きでいえば、2015年に1ドル120円を超えたあたりから徐々に円高に推移しており、2021年1月あたりレートは1ドル103円程度。2022年も当初は1ドル115円前後で安定していた。
それがいきなり円安になったのはロシアによるウクライナ侵攻などにより国際情勢に大きな変化が生まれたからといえる。さらに世界的な物資不足も相まって為替は動いている点も無視できない。
もっとも、かつては「有事の円買い」といって世界情勢が荒れると円高に振れたものだが、有事において円安になるというのは日本への評価が世界的に下がっていることを示しており、社会システムを見直すべきという議論も生まれている。
それはさておき、極端な円安というのは経済的な影響が大きい。
基本的には日本経済は輸出超過であり、円安になるというのは有利といわれている。同じ値段で売っていれば、円安になると円建てにしたときの売上が増えるからだ。たとえば、アメリカに輸出して100ドルの儲けがあったとして、1ドル110円であれば11000円の儲けになるが、1ドル136円であれば13600円の儲けになるからだ。
そして日本最大の輸出産業は自動車である。海外から輸入する材料費は高くなるが、付加価値を生む開発や生産といった部分が生み出す利益は円安になることで実質的に増える。