納期が把握できていないことが最大の問題
登録車のほうが数字を下げている要因はやはりトヨタだろう。人気車のなかには納期遅延が深刻なモデルも少なくないのだが、それでもオーダーが入り続けているのと同時に、ほぼ全車種に渡り法規対応のための改良も進めている。改良前モデルのバックオーダー分を消化してからでないと改良できないため、オーダーストップを行うのが早くなっており、販売現場では冗談抜きで“売るクルマ(短期間で納車できる)がない”という状況が続いているのだ。
そのため現状ではいままでの受注残(注文をもらったが納車できていない)車両のなかから、少ないながらも生産され販売現場に配車された車両を新規登録して納車を行い、これが販売台数としてカウントされているだけといっていい状態となっている。これが8月ごろまでは続くのではないかとされている。
現状の納期遅延はただ“納車に時間がかかる”というだけが問題ではない。“納車がいつになるのか把握できない”とか、“急に納車が延びた”といった不安定な供給体制になっていることのほうがむしろ大きな問題となっているといっていいだろう。
売る側も下取り車が車検を迎える前に納車を間に合わせたいと、納期について十分マージンをとって販売促進活動を進めている。コロナ禍前でも納期遅延が顕著なケースもあったが、当時は車検まで半年ほど残っていれば大丈夫だとされていた。しかしその後、納期遅延が目立ち始めると、車検まで1年ほど残っていたほうがいいという流れになった。いまでは人気車のなかには納車まで10カ月やそれ以上かかるモデルも出始めてきている。そのため、車検を取ったばかり、つまり次の車検まで2年ほど残っている段階で新車への乗り換えを勧めるようになってきてきるそうだ。
現状の納期遅延が収束する気配がないなかでは、売る側も買う側も余計なトラブルに巻き込まれないように“自衛”しながら新車購入を検討する日々が続きそうである。