歴史に学ぶが、それとも繰り返すのか?
一事が万事とはいえないが、日産はヒット作を生めないことでビジネスとしてはジリ貧となり、1990年代後半にはいつ倒産してもおかしくないほどの危機的な状況となった。そこに救いの手を差し伸べたのがフランスのルノーで、資本提携といいながら1999年時点では株式の36%以上を取得して経営権を手に入れる。そうして、かのカルロス・ゴーン氏を日産立て直しのリーダーとして送り込んだのは有名な話だ。
その際に実施されたのが日産リバイバルプランと名付けられた再建計画で、村山工場の閉鎖など大胆な改革が実施された。同時に、拡大しすぎた戦線を身の丈に合わせるために車種ラインアップも整理されていった。
こうして日産はトヨタのライバルというポジションを、自ら降りていったのだ。
だからといって日産が全面的にトヨタにリードを許しているわけではない。ご存知のように電気自動車カテゴリーでは、日産は軽自動車のサクラ、Cセグメントのリーフ、SUVのアリアとラインアップを広げている。トヨタがbZ4Xのローンチ直後に致命的なリコールを出して生産が止まっているのとは対照的だ。
また、先進運転支援システムにおいてもハンズオフを他社に先駆けて実現するなど、たしかに技術的なアドバンテージを持ったメーカーであることは事実だ。
とはいえ、心配なのは最近になって「技術の日産」というキャッチコピーを復活させているように見える点だ。ヘリテージを活かしたブランディングとして利用しているだけであればいいのだが、かつてのようなプロダクトアウト的な商品企画をするようになると、せっかくの技術的アドバンテージをビジネスに活かせないという結果になってしまう。
はたして歴史に学ぶのか、それとも歴史は繰り返すのか。まさに分岐点にあると感じる今日この頃、日産ファンならずとも注目していきたいタイミングだ。