この記事をまとめると
■タイヤから出る音には「ロードノイズ」と「パターンノイズ」が存在
■両者は似て非なるものだ
■それぞれの音が発生する理由について解説する
「ロードノイズ」と「パターンノイズ」は発生源が異なる
クルマに詳しい人や音に敏感な人なら、タイヤからの騒音が気になるかもしれない。柔軟性に富むゴムに溝を付けて、細かな凹凸がある路面の上を回転しているだけに、音が出るのは当然だ。とはいえ、その音が気になるわけで、タイヤメーカー、自動車メーカーは対策に力を入れているポイントだったりする。
タイヤメーカーは、内部に吸音材を貼り付けたり、溝の形状を工夫して音が出にくくしたり、音が出たとしてもきれいに放出するようにするなどしている。自動車メーカーとしては吸音材の配置などだ。
そんなノイズだが、2種類あるのをご存じだろうか。それがロードノイズとパータンノイズだ。どちらも名称が違うだけで、同じモノに思ってしまうかもしれないが、じつはまったく別モノとなる。
ロードノイズは路面のゴツゴツ感がボディに伝わって、車内へと入り込んで響く、振動音のこと。一方のパターンノイズはその名の通り、溝の中にある空気が回転時に圧縮されて、放出されるときに発生する音。発生源がまったく異なるものとなっている。
対策として難しいのはロードノイズのほう。振動が原因なだけに、タイヤも含めた足まわり、そしてボディが振動するのを抑えなくてはならないからやっかいだ。手法としては単純に防音するのではなく、各部が路面からのガタガタとした入力に対して共振することを抑えるというのがポイントになる。
もちろんパターンノイズも路面の影響やタイヤの銘柄によって異なるので対策は簡単ではない。さらに言ってしまえばノイズは人によって感じ方が違うのがやっかいで、万人に対して完璧に対策するのは難しい。
使用するのは、いわゆる制振材だ。これで共振を抑えてやる。オーディオでドアパネルがスピーカーからの音で震えるのを抑えるために、デッドニングという方法を使用するが、それと同じ。要はビビらないようにしているわけだ。ちなみにその昔は共振部分に鉄板を溶接して厚みを増し、振動しないようにするといった方法も採られていた。
新車の解説で、制振材や防音材を適材適所で採用しました、などというフレーズを聞くが、それぞれの役割は少し異なるところがある。これはロードノイズとパターンノイズそれぞれ、どちらを対策するかによって使い分けられることが多い。