1000万円オーバーの超高額SUVが飛ぶように売れる衝撃! ニッポンで「Gクラス」人気沸騰の理由とは (2/2ページ)

最後はマーケティング戦略とブランディング力が物を言う

 2番目の理由については、1979年にデビューした最初のGクラス、コードナンバーW460の軍民両用だったイメージに依存しているのだと思う。

 僕も若い頃に乗ったことがある正規輸入車は230GEと300GDで、ATが4速だったこともあり、オンロードではどちらもアンダーパワーだった。オフロードでの走破性はトップレベルだったけれど、一部のマニアが注目していたにすぎない。

 ところが1990年にモデルチェンジを受けて登場したW463は、純粋に民生用として開発された。多くの人が乗るようになったのはこの世代以降だ。ちなみに軍用としては別にW461が、W460の設計を受け継ぐ形で登場しており、現在はW464に進化している。

 この間W463はビックマイナーチェンジを受け、それまでリジッドだったフロントサスペンションが独立懸架、ステアリング形式がボール循環式からラック&ピニオンになるなど、民生用としてさらなる最適化が図られている。

 つまり、コードナンバーが示しているとおり、現在日本で販売しているGクラスを、軍用車と同じと言うのは間違いだ。

 とはいえ似たような例はほかにもある。たとえば今年のル・マン24時間レースでクラス優勝したポルシェ911RSRは、リヤエンジンではなくミッドシップだったりする。

 当然ながらメーカーは同じクルマだと明言はできない。でもそこで簡単にあきらめたりはしないのがゲルマン魂。両者につながりがあることを可能な限りアピールする。スタイリングを瓜ふたつに仕立てる作業もそのひとつ。

 そこまで入念に準備したうえで、あとはユーザーの責任として、レーシングカーとスポーツカー、軍用車と民生用車を結びつけてもらうのだ。

 だから仮にW463のユーザーが「オレは軍用車に乗っているんだぜ!」と自慢しても、メーカーやインポーターは注意しない。作戦どおりなのだから。

 ドイツの自動車ブランドは概してこういうストーリーづくりが上手であり、こうした戦略もGクラスや911の根強い人気につながっていると思っている。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

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2023ルノー・トゥインゴ/2002ルノー・アヴァンタイム
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ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
好きな有名人
ビートたけし

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