今も続く名車が続々と産声を上げた
ここまでは、ロッキーで触れたように、ある意味、マニア向けのコンパクトSUV、クロカンだったのだが、1994年にはクロスオーバーモデルとして、その後のコンパクトSUVブームをけん引するモデルが登場。
それが初代トヨタRAV4である。この時代は5ナンバーサイズで、街乗りからアウトドアやSURF & SNOWのスポーツシーンにまで使い勝手のいいジャストサイズかつ悪路にも強い待望の1台だった。初代のCMキャラクターがキムタクだったこともあって!? 一気にブレイク。当初はショートな3ドアボディのみだったが、翌95年にRAV4 Vとネーミングされた5ドアも追加され、その人気に拍車をかけた。
90年代の日産はイケイケの時代。
そんな中で登場したコンパクトクロスオーバーモデルが、サニー系のプラットフォームを用いたラシーンだ。93年の東京モーターショーでプロトタイプが参考出品され、大好評を得たため市販化。87年にデビューしたBe-1以降のパイクカーシリーズとは異なり、限定車ではなかったのも特徴だ。
イメージキャラクターは漫画のドラえもんで、ブルーのボディカラーはドラエもんブルーと呼ばれていた。もっとも、クロスオーバーモデル風のデザインながら、悪路の走破性には特化していない乗用車であった。
1995年にはホンダから初代CR-Vがデビュー。今は懐かしいホンダのクリエイティブムーバーの第2弾(第一弾はオデッセイ)として発売され、一世風靡。
当初、国内専売の予定だったのだが、海外からの強い要望で世界各国に向けた生産を開始。エンジンは2リッターで、全幅は1750mm。3ナンバー登録ではあるものの、取り回し性は良好。FFベースのスタンバイ4WDの評価はいまひとつだったが、RVテイストある乗用車としての人気は高かった。
そして2002年になると、その後の世界のコンパクトクロスオーバーモデルに大きな影響を与えたと言われる、初代トヨタ・イストが登場する。ヴィッツベースながらクロスオーバーモデルとして一躍大人気。のちに北米でサイオンブランドとして発売。若者に絶大なる人気を得ていたのである。
このように、90年代から2000年初頭にかけては、コンパクトSUVブームの幕開けと言っていい時代だったのである。日本ではその後、いったんミニバンブームが盛り上がり、一時的にコンパクトSUV市場は下火になったものの、「時代は繰り返す」のごとく、ロッキーの復活が示すように、空前のアウトドアブームとともにコンパクトSUVブームが再燃しているというわけだ。