サイズ・燃費・走りのトータルバランスでライバルを圧倒! コンパクトハイブリッドカーのトヨタ・アクアが売れているワケ (2/2ページ)

ライバルに対してはトータルバランスで勝負

初代から進化したユーティリティ性能

 先ほどお伝えしたように、2代目アクアは初代と比べてホイールベースこそ50mm拡大しましたが、全長、全幅はサイズアップされていません(全高は30mmアップ)。これは取りまわしが良い初代のボディサイズがユーザーから支持されていたためですが、ホイールベースの延長分はおもに後席の居住性向上にあてられました。

 後席居住性については、同じプラットフォームを採用するヤリスとの差は歴然で、後席に人を乗せる機会が多い場合はアクアを選択すべきです。

 また、特筆すべきは収納スペースが充実していること。今の時代になくてはならないスマートフォンもフロントコンソールにUSB端子が備わったスライド式トレイを設けたことで置き場所に困りません。

 ラゲッジルームも後席同様、ホイールベースの延長により最大奥行きを拡大。初代とは違い、後席が6対4分割可動式となったことで、大きい荷物などの積載が容易になりました。

 また、リヤハッチドアのヒンジの取り付け位置を工夫したことで開口部の上下サイズを拡大しました。開口部が広くなったことでの荷物の積み下ろし時の作業効率が向上しています。

アクアのライバルは?

 ハイブリッド仕様を用意するコンパクトカー、この条件を満たすクルマがアクアのライバルといえます。前記ふたつの条件を兼ね備え、サイズ的にも近いのがホンダ・フィットe:HEV(以下、フィット)、日産・ノートの2車種です。

 まず、フィット、ノート、そしてアクアのサイズを比較してみましょう。アクアの全長が4050mmで全幅が1695mm。対してフィットが全長3995mmで全幅が1695mm、ノートが全長4045mmで全幅が1695mmといずれも取りまわしの良いサイズで、大きさにもほとんど差はありません。

 続いてはパワーユニット。アクアが1.5リッター直3エンジン+モーターのハイブリッド仕様でシステムトータルの最高出力が171馬力。

 フィットは1.5リッター直4エンジン+モーターのハイブリッド仕様でシステムトータルの最高出力は207馬力。ノートは1.2リッター直3エンジン+モーターのハイブリッド仕様ですが、他2車種とは違ってエンジンは発電用に徹し、モーターの出力のみで走行するe-POWERを採用。モーターの最高出力は116馬力となります。

 気になる燃費ですがアクアが32.0km/L、フィットが28.6km/L、ノートが28.4km/L(いずれもWLTCモード燃費)とアクアが一歩リード。しかも2代目アクアはドライバビリティが大幅に進化し「ハイブリッド車だからか、走りはそこそこ……」と初代に付いていた悪評を払拭しています。

 その走行性能についてですが、アクアとフィット、ノートとの違いはあるのでしょうか。

 まずフィットですが現行モデルは2モーター式のハイブリッドシステムを搭載。基本的にモーターで走行しますが、高速域や低負荷時にエンジンのパワーも加わるのが特徴といえます。けしてスポーティな走りを備えているわけではないですが、スムーズな走行フィールは快適そのもの。また静粛性が高いことも特徴といえるでしょう。

 もう一台のノートですが、こちらはエンジンからのパワーはすべて発電にまわされ、駆動力はモーターのみで担われます。ただ、発進時や加速時、いずれもモーターが力強いパワーを発揮して力不足を感じることはありません。

 フィットに比べるとよりEVテイストを感じるノート。初めて乗るユーザーがノートを運転すると、モーターのトルクやパワーに驚くのではないでしょうか。

 一方、2代目アクアが搭載するハイブリッドユニット“THS II“は、他の2台と違ってモーター駆動のみならずエンジン駆動も合わせて使用するシステム。ただ、初代と比べてバッテリーがしっかりと充電されていると、低〜中速走行時にモーターのみで駆動する領域が広がっています。

 また、回生ブレーキの効率を上げる「POWER+」モードを新たに装備。回生効率が上がるとともに、減速度も大幅に上がったことで、ノートのようなワンペダルドライブ走行も可能となっています。

 最後にユーティリティについて3台を比較してみましょう。

 3台のうち全長が一番長いアクアですが、全高は一番低い1485mm(フィットが1540mm、ノートは1520mm)。そのためなのか、とくに後席のゆとりは2車に劣ります。この3台のなかで室内空間の広さで圧倒しているのがフィット。センタータンクレイアウトを採用し、初代から室内の広さを売りにしている同車ですが、現行モデルも開放感は抜群! 室内空間の広さは2台と比べアドバンテージを誇っています。

 この3車を評すると、スタイリッシュな見た目とクルマのトータルバランスに優れるアクア、室内空間の圧倒的な広さを誇るフィット、EVフィールを備えてモーターのパワーを味わえるノート、といずれもそれぞれの個性を感じられます。

 ファミリーユースか個人ユース、また日常使いがメインか週末のドライブがメインかなど、ユーザー視点にもよりますが、トータルバランスに優れたアクアは買って損しない一台といえるでしょう。

アクアのおすすめグレードは

 アクアにラインナップされているグレードは4つ。エントリーモデルの「B」(198万円〜)をはじめ、「X」(209万円〜)、「G」(223万円〜)、「Z」(240万円〜)と続きます。

 グレードの中でいうと上級グレード「Z」はその他グレードと装備が大きく異なっているのが特徴。Bi-Beam LEDヘッドランプ、LEDライン発光テールランプ、10.5インチディスプレイは他のグレードには装備されていません。

 逆にエントリーグレードの「B」が他のグレードと違うところは、アウトサイドドアハンドルがブラック(ボディカラーと同色ではない)になること。インパネセンタークラスター&ヒーターコントロールパネルがマット塗装(他グレードはピアノブラック加飾やシルバー塗装)になること。フロントソアトリムなどがマット塗装(他のグレードはピアノブラック加飾)と、一見、実用性に影響なさそうではありますが、ブラインドスポットモニターやパーキングサポートブレーキを装備できないなど、基本的に法人向けとして設定されたグレードです。

 一般ユーザーが購入するなら「X」からとなりますが、「G」とはパーキングサポートブレーキやバックガイドモニターが標準装備であるかどうか、2スピーカーか4スピーカーか、また10.5インチディスプレイをオプションで装着できるかが大きな違いとなります。

「X」と「G」の価格差は14万円(ともに2WDで比較)ですが、「X」に絶対に欲しい先進安全装備のパーキングサポートブレーキなどを装備すると、価格差はほぼなし。日常的にクルマを使う方であれば、その他装備も充実している「G」を選ぶことがおすすめです。

おすすめのオプションは?

 スタイリッシュな見た目を備えるアクアには、さらに外観を引き立てるオプションパーツを装着することがおすすめです。

 とくにおすすめしたいのがモデリスタ・ガーニッシュスタイルとして用意されているカスタムパーツ。メッキで加飾したフロントガーニッシュやバックドアガーニッシュ、ミラーガーニッシュを装備することで上質さがぐっと向上します。

 個々での装着も良いのですが、ぜひ身につけたいパーツがセットになったクールシャインキット(11万5500円)を選びたいところ。アクアの見た目が引き立つオプションです。


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