スポーツモデル「GT-i」のキャッチコピーもまさかのオヤジギャグ
しかし、スズキにとっては、かつて生産していたスズキ初にして唯一の普通乗用車であったフロンテ800以来、じつに14年ぶりの新型・非軽自動車とあって、やや海の物とも山の物ともつかぬ印象もあり、日本市場の反応はイマイチ。まして、当時はシティやスターレット、マーチ他、リッタークラスは強豪揃い。そして、それらには軒並みターボエンジンを積んだハイパフォーマンスモデルが生まれようとしている時期で、経済性を売りにしたカルタスは押しが弱かったのも事実。1984年には標準車の1リッター直3にターボを装着した高性能版もリリースしたが、やはりライバルに比較して影は薄かった。
そんな中、1986年に行われたマイナーチェンジの際に、起死回生の策として追加されたホットハッチ仕様が1300GT-iだった。そのグレード名からも推測できるように、エンジンは1.3リッターの排気量を持つ直4へとアップグレードされただけでなく、なんと1.3リッタークラス初のDOHCヘッドが搭載されていたのである。
そして、マイナーチェンジを機に、リヤサスペンションがリーフ・リジッドからコイルスプリングに変更されたこともあり、しなやかなハンドリングを手に入れる。ようやくここに「オレ・タチ、カルタス」というよりも舘ひろしさんのイメージにも合うカルタスが登場したという訳だ。
ちなみに1300GT-iのCMでは、「オレ・タチ、カルタス」のフレーズは使われず、「Hard Touch, CULTUS」なる横文字仕立ての新キャッチコピーが生まれたが……。
よーく考えてみると、Touch、タッチ、タチ。舘……、正直いま頃になってこれまたオヤジギャグであったことに気づいたのである。